(脇下・股間など) 痒みの原因は何?
「汗が原因のかぶれ?」
「アトピー性皮膚炎?」
「それとも他のアレルギーなのかなぁ」
「でも、ダニではないような気がするし…」
「脇下 & 股間周りなどに強烈な痒みが…」
病院に行ってもイマイチ病名がはっきりとはしないその痒み。いったい何が原因なんでしょうねー。湿疹までできてしまいます。
やっぱりダニが原因なのでは?
疥癬 (かいせん) って言葉、聞いたことありますか?これは、ヒゼンダニが皮膚に寄生して起こる (かゆみの激しい) 皮膚病のことです。人から人へと感染します。ヒゼンダニは人の体温が一番生活に適しており、人の肌から離れると長くは生きられません。
高熱 & 乾燥に弱く、50℃以上の環境に10分以上さらされると死ぬことがわかっています。ただし、ヒゼンダニはとても小さく肉眼では見つけにくいため、誤診されやすく、一般的な湿疹としてステロイド剤などで治療されてしまうと症状がさらに悪化してしまいます。さらに、集団感染してしまうと完全に治癒させるまでに1年かかるとも言われています。
もし、幸運にも医師から「どうやらあなたは疥癬ですね」と告げられたら、塗り薬と飲み薬を処方されることでしょう (完治には数ヶ月かかる場合もあります)。
お大事に…
症状は様々です
「幸か不幸か疥癬ではなかったよ」というあなた!
かゆみを伴う皮膚疾患はいろいろあって、かゆみが現れる部位やかゆみと合わせて生じる症状もそれぞれ。治療においては、まずは悩みの種となっているかゆみの種類や症状を把握することが大切です。
医師とよく相談し、処方されたお薬が合わないようであれば診断が間違っている可能性もあります。そういった場合には遠慮せずセカンド・オピニオンを受けるようにしましょう。以下、部位別に症状をチェックしてみましょう。
全身
🔵 かぶれ・接触性皮膚炎
何らかの物質 (化粧品・アクセサリー・植物性あるいは動物性製品など) が直接皮膚に触れることによって痒みが生じてしまう場合があります。
🔴 じんましん
皮膚の一部に強いかゆみを伴う紅斑 (こうはん) や盛り上がった膨疹 (ぼうしん) が現れ、しばらくすると跡形もなく消えてしまうという特徴があります (数日続くものもあります)。強いかゆみに耐えきれず掻いてしまうと、症状が悪化したり跡が残ったりするので注意しましょう。症状が1か月で治まるものを急性じんましん、それ以上のものは慢性じんましんと言われています。
🔵 皮膚掻痒 (そうよう) 症
皮膚に赤みや湿疹などの目立った異常がみられないにも関わらず、かゆみが出るものを皮膚掻痒症と呼びます。皮膚の乾燥を伴うことが多く、全身性疾患や内臓疾患が原因となる場合もありますが、高齢者では特別な疾患がなくてもかゆみが起こることがあります。
🔴 乾癬 (かんせん)
皮膚の赤みの上に層状に鱗のようなものが重なって、掻くとポロポロとはがれ落ちます。慢性になりやすい皮膚疾患で、かゆみの程度は乾癬の症状により様々です。
他にも、
◉ あせも
◉ 虫刺され
◉ 薬物性肝障害
などが考えられます。
頭・顔
🔵 乾燥性皮膚炎
皮膚の乾燥が進むことによって、かゆみを伴う赤みや湿疹、水ぶくれが現れます。秋から冬にかけて、空気が乾燥する季節に悪化しやすくなります。
🔴 脂漏性皮膚炎 (カビ菌)
分泌した皮脂が刺激となって起こる皮膚炎で、頭部や顔に赤みや発疹が現れ、フケ状に粉をふいた状態になることが特徴です。皮脂の分泌の多い部位に現れやすく、頭部や顔のほか、脇の下などにも見られることがあります。頭部ではかゆみを伴うことが多いようですが、必ずしもかゆみを伴うわけではありません。
手・足
🔵 手湿疹 (主婦湿疹)
手にできた湿疹の症状の総称で、接触性皮膚炎のことを指します。皮膚を保護する皮脂膜が、頻回の手洗いや洗剤の使用などによって失われ、バリア機能が低下した状態の皮膚に刺激が加わることで起こります。
🔴 乾皮症 (皮脂欠乏症)
加齢などが原因で皮膚の水分が減少することによって生じます。高齢者の手足、背部、ひざ下などに見られ、フケ状の皮膚がはがれ落ちたり、ひび割れたりします。かゆみを伴うため、掻くことで悪化して湿疹になる場合もあります。また、秋から冬にかけての空気が乾燥する季節に悪化しやすくなります。
🔵 水虫・白癬 (はくせん)
カビの一種である白癬菌が皮膚に感染し、かゆみや水ぶくれなどが現れます。身体のさまざまな部位に感染する可能性がありますが、代表的なものは足に現れる白癬で、一般的に水虫と呼ばれています。
🔴 あかぎれ
冬の寒い時期などに皮膚が乾燥し、皮膚にひび・炎症などが生じてやあかぎれを引き起こす場合があります。
🔵 しもやけ
寒さなどによる血行不良が原因で起こり、かゆみや痛みを伴った赤い発疹や腫れが生じます。冬の時期に見られ、手や足などの血液が末梢に届きにくい部位に多く発生します。
デリケートゾーン (陰部)
🔴 肛門掻痒症
肛門とその周辺部にかゆみが生じている状態を肛門掻痒症と呼びます。入浴や就寝後などで体が温まると、かゆみが強くなる傾向にあります。原因は様々で、痔や肛門ポリープ、直腸脱、便秘や下痢、ストレスなどの精神的な要因によって起きる場合もあります。また、肛門やその周辺部に付着した便や汗が原因となる場合もある一方、ウォシュレット洗浄などを使って過度に洗浄することも皮膚のバリア機能を低下させ、かゆみの原因となる場合があります。
🔵 性器カンジダ症
その多くは女性に見られます。腟内常在菌のひとつカンジダが異常増殖することによって外陰部の強いかゆみ、白色のチーズ状・酒かす状のおりもの増加が現れます。ストレスや疲労などで免疫力が落ちている時に起こりやすく、ホルモンバランスの変化、抗生物質による常在菌のバランスの変化、蒸れによる高温多湿なども原因となります。
🔴 トリコモナス膣 (ちつ) 炎
腟トリコモナス原虫の寄生によって起こる腟炎で、10日前後の潜伏期間で症状が現れますが、およそ50%の人には症状が現れないといわれています。症状としては、悪臭の強い飛沫状のおりもの、外陰部の強いかゆみ、ピリピリとした刺激感などが挙げられます。主な感染経路は性行為によるもので、そのほか衣類やタオル、浴槽などを介して感染する場合もあります。
🔵 尖圭コンジローマ
皮膚や粘膜にある小さな傷にHPV (ヒトパピローマウイルス)ウイルスが接触することによって感染し、性器や肛門の回りにイボができます。自覚症状がほとんどないと言われていますが、人によっては痛みやかゆみを感じることもあります。
タムシ?
「タムシ」は非常に痒い皮膚の病気で体のどこにでもできますが、とくに股(また)、臀(しり)、下腹部、腋窩(わきのした)など、すれて湿っぽくなるところに好んで発生します。「タムシ」はシラクモ、ゼニダムシ、インキンタムシ、水虫と同様に白癬菌というカビの一種によって起きる皮膚の病気の俗称で、正式な病名は体部白癬(たいぶはくせん)、毳毛部(せいもうぶはくせん)、頑癬(がんせん)と呼びます。特に股、臀(しり)のものがインキンタムシと呼ばれることが多いようです。しかし、男性の陰のうを犯すことは稀。陰のうの痒い病気のほとんどは湿疹、皮膚掻痒症などです。
おわりに
以上述べてきた通り、かゆみの原因は汗・乾燥・物理的な刺激 (カミソリ負けなど)・アトピー性皮膚炎や金属などのアレルギー・雑菌の繁殖など様々です。体が弱っている時に脇の下が痒くなる場合はカンジダによる可能性もあります。
特に脇は摩擦が多い上蒸れやすく細菌が繁殖しやすい部分であるため、痒みが生じやすいもの。このかゆみは、ヒスタミンという物質が大きく関係しています掻くことによってヒスタミンの分泌が増え、さらに痒くなるという悪循環に陥ります。
痒みが出た時は我慢して掻かず、適切なケアをすることが大事になってきます。皮膚科できちんと診てもらいましょう。