顔面多汗症の簡単「対処法」と専門的な「治療法」
体の特定の部分からのみ異常に汗が出る症状を「局所性多汗症」と言い、「顔面多汗症」もその1つです。顔汗が噴き出ると、せっかくのメイクは台無しだし、人目も気になって困ってしまいますよね。
そこで今回は、誰にでも簡単に出来る「対処法」と、専門的な「治療法」についてまとめてみました。
それではさっそくみていきましょう。
1. 冷やす
発汗の原因はいくつかありますが、そのうちの一つ、体が熱くなっている時に起こる「温熱性発汗」の場合であれば、太い血管のある場所を集中的に冷やしてあげると発汗を抑えることができます。
顔汗の場合、首の後ろを保冷剤などで冷やしてあげると効果的です。
2. 圧力をかける
人体の不思議の一つとして、「体の一部分を圧迫するとその周辺の汗が減る」という現象があります。これは半側発汗 (皮膚圧反射)というもの。
そこで、この仕組みを利用し発汗を止めましょう。具体的には「強めに腕組みをする」と良いでしょう。ただし、顔汗が減るのは圧迫している時だけです。
3. リラックスする
緊張したり興奮したりした時に出る「精神性発汗」の場合であれば、リラックスすることが一番の改善方法になります。気持ちが落ち着けば自然と引いていきます。
しかし、焦れば焦るほど逆に冷や汗は増え続けることでしょう。そこで、早く止めたいのであれば、あまり気にしないこと。
ゆっくり深呼吸するなど、日頃から焦らず気にせず平常心でいる訓練を行っておきましょう。
※ 他にも、顔用の制汗剤を使用するという手段もあるのですが、これはあまりオススメできません。なぜなら、長時間汗腺を塞いだままにすると肌に負担をかけ、体温調節にも影響するからです。どうしても使う場合は、外出先から戻ったらすぐに洗い流すなど、必要最低限の使い方をするようにしましょう。
多くの『多汗症』のガイドラインには、手のひらや足の裏、ワキの下の多汗症に関する記述はあっても、顔面多汗症についてはあまり触れられていません。
それだけ、顔面に特化した有効とされる治療薬は未だ無いということなのかもしれません。しかしながら、ほかの部位の場合同様、「ボツリヌス注射」や「神経遮断薬」であれば効果があるとされています。
さっそく、それぞれの薬の特徴を見ていきましょう。
① ボツリヌス注射
ボツリヌス注射とは、食中毒の原因菌でもある「ボツリヌス菌」が産生する「A型ボツリヌス毒素」を使った注射です。この注射を打つと汗を抑えることができるのです。
(1回の注射で半年の効果)
ただし、注射時の痛みが強いことと治療費が高額になることは覚悟しておいてください (保険の適用はありません)。
② 神経遮断薬
神経遮断薬は、アセチルコリンの放出を妨げて汗を減らす飲み薬です。多汗症の治療薬として認可が下りているものには「プロパンテリン(商品名プロバンサリン)」があります。
顔汗にも効果はありますが、(全身に作用するため) 汗腺だけでなく全ての器官の働きを抑えてしまいます。そのため、目のかすみ、喉の渇き、便秘、尿が出にくくなるといった副作用が出ることもあります。
③ その他の薬
多汗症には漢方薬も有効とされています。個人差はありますが、一般的に、首から上の汗が多い場合は「柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)」が用いられることが多いようです。
また、上述した「精神性発汗」が原因の顔面多汗症の方であれば、「精神安定剤」を飲むことで気持ちが落ち着き、症状が緩和されることもあります。
顔の汗は脇の下や足の裏と違って隠しようがないので辛いですよね。ハンカチが手放せなかったり、メイクがドロドロになったり…
ここで紹介した「対処法」ではどうにもならない (ならなかった) 方は、上述した専門家による治療を施してもらった方が良い場合もありますので、一度クリニックを受診し、自分に合った薬を処方してもらうといいでしょう。
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