人間不信を乗り越えて警察犬を目指すワンちゃん

 
北海道に暮らす柴犬の「桃太郎」(オス、3歳)は、見事警察犬の試験に合格し、いつ来るか分からない出動に備え日々訓練に励んでいます。

 

実は、頑固で飼い主以外の指示を聞かないとされる柴犬は、警察犬になることが少ないのです。

合格だけにとどまらず、世のため人のために活躍してもらいたいものですね。

 

 

<警察犬>

警察犬とは、鋭い嗅覚を生かし、犯人追跡や行方不明者捜索などにあたる訓練を受けた犬のことをいいます。犬種の7割はシェパードです。

今回は、そんな人間とは切っても切れない存在であり続けるワンちゃんたちの物語をいくつか紹介してみたいと思います。

 

 

 

遭難男性の命を救った飼い犬

(写真は本文と関係ありません)

 
2016年秋、宮城県に住む91歳男性の行方が分からなくなりました。深夜のことです。幸いにもこの男性は無事保護されました。飼い犬2匹と抱き合いながら、寒さをしのぐことができたため助かったのでしょう。

聞くところによれば、この男性は飼っている秋田犬と雑種の中型犬を連れてマツタケを採りに山に入ったのですが、まさかの斜面からの滑落。

 

本当に、無事でよかったですね〜!

 

 

 

警察犬を目指す捨て犬たち

飼い主に捨てられる…という暗い過去を持つ犬たちが、人助けのために「警察犬」「災害救助犬」になることを目指しているというニュースが入ってきました。

青森県では、動物愛護センターにいた捨て犬のワンちゃんたちが、日々、人間の指示にきちんと服従したり、がれきから人を探し出したりする訓練に励んでいるのです。

 

当初、捨て犬として動物愛護センターに保護されていた頃は、なかなか職員になつかず、噛みつくこともあったようです。人間不信が根深く、荒れ狂う日々。

一方で、虐待によるトラウマなのでしょう。食器の音に過敏に反応し、うずくまるのです。

 

このような状況が数年続き、いよいよ、心に深い傷を負った捨て犬たちが「殺処分されるかもしれない」という噂が。

これを耳にした、居ても立っても居られなくなった心優しき人たちの家に引き取られていったワンちゃんたち。ようやく普通の幸せな暮らしを送れる環境が整いました。

 

一緒に寝ようと近づいてきたかと思えば、寝返りに驚いて吠える。新しい家族に慣れるまでに1年もかかってしまいました。

 

さあ、そんな元捨て犬だったワンちゃんたちが「警察犬」や「災害救助犬」を目指して訓練を始めたのは数年前。

救助は、「人を助けたい」という気持ちがないとできません。人を好きになり、信用できるようになって初めてこの任務を全うできるのです。

 

しかも、試験を受けた犬の中で、災害救助犬として活躍できる犬はわずか数%ほど。非常に狭き門なのです。

それでも一生懸命に頑張る元捨て犬たち。少しずつできることが増えてきました。表情も、以前は怒っているような顔だったけれど、随分と柔らかくなってきたようです。

 

 

動物愛護センター出身の犬の中から、警察犬になった犬もいます。現在進行形で訓練を受けているワンちゃんたちもいます。

けれど、現実はそう甘くはなく、

例えば、捕獲されたり引き取られたりして青森県動物愛護センターに持ち込まれた犬は2015年の1年間で574匹。うち272匹は殺処分されてしまったのです。

 

「この子たちは、灰になるために生まれてきたわけではない。捨て犬でも社会に貢献できるんです」

 

 

 

二本足のワンコ、すみれちゃん

保護犬の柴犬“すみれちゃん”が、事故で2本の足を失いながらもボランティアに支えられて懸命に生きる姿を追った書籍「二本あしのワンコ すみれちゃん、生きる」が出版されました。

すみれちゃんは高崎市動物愛護センターで保護されていましたが、2015年、譲渡会で無事、一般家庭に引き取られていきました。

 

まだ4本の脚があった頃のすみれちゃん=群馬わんにゃんネットワーク提供
まだ4本の脚があった頃のすみれちゃん
 
 
しかし、

わずか数ヶ月後のある日、飼い主の家から飛び出したまま行方不明になってしまったすみれちゃん。

前橋市内の線路脇で大けがをして倒れているところを警察に保護されました。どうやら電車の車輪に押し潰されたらしいのです。

 

不運にも、この日は土曜日で、市役所の担当者が休みだったこともあり飼い主が特定できず、すみれちゃんは“拾得物”として警察署で2日間を過ごすこととなりました。

治療を受けられず、水だけが与えられ、傷口にはウジがわいていたすみれちゃん…

 

その後、飼い主に引き渡され、動物病院で診察を受けることができましたが、「傷がひどいこと」「介護が必要になること」から、安楽死も選択肢の一つとされたのです。

 

この状況を知ったNPO法人「群馬わんにゃんネットワーク」の尽力により、すみれちゃんの命は救われました。

「自分たちが関わった命は、最後まで責任を持つんだ」

 

その後すみれちゃんは2本足になってしまいましたが、ボランティア宅で元気に過ごし、里親を待ち続けています。寄付金で車いすが作られ、散歩もできるようになりました。2本の足だけで元気に走り回っているのです。

 

身体障害の車椅子犬

 

群馬わんにゃんネットワークの理事長・飯田さんは、事故後のすみれちゃんについてこう語っています。

「私たちは、どうやってすみれの身体と心の傷を癒やそうか考えていました。それなのに、前を向いて進んでいるすみれの姿に、私たちボランティアのメンバーのほうが励まされているんです。」

 

・・・

 

犬を飼うことには“命を預かる責任“が伴います。限りある命を大切にしながら生きるということ。それは人間であっても犬であっても同じことなのです。

 

もう一度、生命の尊さというものを深く考えていただきたい!

 

犬だって、笑顔で楽しく暮らしたいのですから ☆