漱石や子規も愛した (飲み過ぎ有害な) 牛乳の栄養効果
牛乳は完全栄養食品ではありませんが、栄養バランスに優れた準完全栄養食品です。タンパク質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンをバランス良く含んでいます。
他の食品と比較して、栄養バランスが非常に良いため、昔から完全栄養食品と考えられていたのです。
明治の俳人・正岡子規の晩年の日記「仰臥漫録」には、病に伏せる子規の食事が詳述されています。その中に、毎日牛乳を飲む子規の姿が。。。
子規は牛乳とともに菓子パンをよく好んで食べていましたが、よほど牛乳好きだったのか、それとも、「滋養」に良いとされている牛乳を薬代わりに飲んでいたのか。。。
ともあれ、明治維新の翌年から明治政府が率先して牛肉と牛乳の普及に乗り出したことにより、庶民の間に広く普及していった牛乳にはとてつもないパワーがあるようです。
「実に万病の一薬と称するも可なり」
そもそも牛乳は西暦645年頃、中国から渡来し乳製品まで作られていました。しかし、675年、「肉食禁止令」が出されてしまい牛の飼育が減ったため、必然的に牛乳を飲む習慣がなくなってしまったのです。
それから長〜い月日が流れ、、、
明治政府が「富国強兵」「体位向上」のため、肉食を解禁し牛乳を飲むことを勧めていったのです。
(日本において牛乳は、1,200年もの長きにわたるブランクの歴史があります)
しかし明治期に復活した牛乳!
明治初期の頃には榎本武揚・松方正義・山県有朋・副島種臣ら有名人が次々と牛乳店を経営するようになり、庶民の間に少しずつ広まっていったのです。
子規の親友・夏目漱石の代表作『坊ちゃん』にも、「物理学校などへ入って数学なんて役にも立たない芸を覚えるよりも、六百円を資本にして牛乳屋でも始めればよかった」とあります。
牛乳屋は明治期の「時代の商売」だったのでしょう。『道草』の中には、「養生はしているよ。健ちゃんから貰うお小遣いの中で牛乳だけはきっと飲むことに決めているんだから」とも。
牛乳は、入退院を繰り返していた漱石にとって、特に欠かせないものでもあったのです。
漱石は家にも牛乳を配達させていて、月末にまとめて支払っていました。現代の通貨価値に換算すると、当時漱石は毎月7,000円ほどを牛乳費に回していました。
最後に、そんな牛乳の栄養・効果についてまとめてみました。是非参考にして牛乳習慣を作っていってくださいね。
はじめに、どんなに「体に良い」ものであっても、過剰摂取は却って体に悪いということは覚えておきましょう!
【牛乳の栄養・効果】
・骨や歯を丈夫にする
・肌をツルツルにする
・精神を安定させる
・安眠できる
・免疫力を高める
・疲労回復
・整腸作用
・便秘解消
・月経痛や認知症にも効果的
数年前、「牛乳はむしろ有害で、飲むのは健康のために良くない」「乳製品を多く摂ると骨粗鬆症になりやすい」「市販の牛乳は錆びた脂だ」などとする説が世に広まりました。
しかし、海外で行われた最新の実験・研究において、
牛乳を「毎日飲む」「時々飲む」「飲まない」というグループに分けて10年間の生存率を調べたところ、長生きするのは男女共に「毎日飲む」グループでした。
つまり、一日3杯以上はさすがに飲み過ぎですが、毎日コップ一杯程度であればやっぱり健康に良いと考えるのが現在の一致した一般常識のようです。
牛乳は不足しがちなたんぱく質、カルシウム、ビタミンを手軽に摂取できる優秀な食品であり、「体に悪い説」のほとんどは科学的根拠が乏しく、最新の研究によって否定されています。
また、牛乳を飲まない人が飲む人に比べて優位なデータは一切ありません。
日本人はただでさえカルシウム不足になりやすく、それに伴う様々な健康被害が生じています。
健康のためには「牛乳を飲むのが良い」という見方の方が自然に感じられます。
ただし、
過剰摂取はダメ!
ということだけ忘れないでくださいね。