「人体冷凍保存」で未来に復活するにはいくらかかる?

 

「現在の医療技術では治せない病気でも、将来必ず治せる日が来るっ!」

そう信じて、未来に希望を託して、「人体冷凍保存(クライオニクス)」を利用する人たちが少しずつ増えてきているそうです。

 

 

 

「人体冷凍保存」とは

人体冷凍保存 (cryonics) とは、現在の医療技術で治療が不可能な人体を死後に冷凍保存することです。未来の医療技術が発展していることに夢を託して、蘇生と治療の技術が完成した時点で解凍・治療しようという考え方です。

この技術を推進しているのは一ヶ所ではないので、それぞれに特徴は異なりますが、私の知る限りにおいて、全身の冷凍保存で2000万円ほど、頭部のみの冷凍保存で1000万円ほどです。

 

(ちなみに一番安いところでやってもらうと300万円ほどらしいです)

 

 

頭部保存の場合は、頭部を切断して液体窒素に沈めます。マイナス196度まで冷やされ、医療の発達した時代に適切な処置が行われる、ということになっています。

登録会員が死亡すると、遺体の引き取りチームが急行し、遺体を冷却しながら拠点に搬送。そして、(全身の場合は) 遺体の大腿部付け根の大動脈から不凍液を流し込んで血液と入れ替えるのです。

(血液を凍結・解凍すると細胞を破壊するため、不凍液に入れ替えるそうです)

 

その後、(全身保存の場合は) 液体窒素を充たした金属製容器に遺体を入れます。(頭部保存の場合は) 頭部を切断して液体窒素に沈めます。目覚めるのは100年後か200年後か。。。

 

 

 

 

冷凍人間になった有名人は?

今までに、数百人ほどの人が何らかの理由で冷凍人間になって眠っています。その中で有名なのは、マセリン・ナオバラトポンという2歳のタイ人の女の子です。彼女は冷凍保存されている人間の中で最年少として有名です。

 

 

現代の医療では、彼女の脳腫瘍を完全に治療することはできず亡くなってしまいました。彼女の両親は不憫に思い、彼女の体を冷凍保存して未来の医療技術に託したのです。必死の思いで幼い彼女の体を冷凍保存することを決めた両親の気持ちを考えるといたたまれない気持ちになりますね。

他にも噂レベルであれば冷凍された有名人がいます。有名映画会社の創業者さんなど、誰でも知っているような方もいますよ。

 

 

 

 

まるでSF映画の世界!

遺体をマイナス196℃まで冷やし、医療の発達した未来で適切な処置をして蘇らせようとする極低温保存技術…

まるでSF映画のような話ですね!

 

しかし現に、例えばアメリカのアルコー延命財団やクライオニクス研究所、ロシアのクリオロス社などで「人体冷凍保存サービス」が始められているのです。

現在、世界ですでに数百体以上が保存されているようです。

 

 

米・大リーグの名選手テッド・ウィリアムズの遺体も保存されているようですが、登録会員には、がんや難病の患者のほか、「遠い未来を自分の目で確かめてみたい!」という人もいるのだとか。

(私の知る限り) 日本では人体冷凍保存は行われていませんが、「社団法人・日本トランスライフ協会」が、遺体搬送を事業化しています。同協会は、理事のひとりがクリオロス社への遺体搬送を手がけたことを契機に設立されたそうです。

 

ただし、彼らが行うのはあくまで「ドライアイスで遺体をマイナス80℃に保ちながら空輸すること」。血液の入れ替えなどは施されていません。仮に人体冷凍保存が有効な手段であったとしても、この保存方法では不完全なのでは?という気もしなくもないのですが。

 
皆さんはどう思いますか?

 

 

 

 

将来、「復活」は本当に可能なの?

現在、日本人でこの人体冷凍保存サービスを利用したことが確認できているのは3人。全て女性です。

 

「現代の技術では不可能でも、将来、分子レベルのナノテクロボットが壊れた細胞を修復する技術が確立されれば、蘇生は可能だ」とアルコー延命財団は主張しています。

 

また、日本のある生物学者はこう述べています。

「金魚やカエルなどは瞬時に凍らせたあと、常温の水に戻すとまた動き始めることがあります。人間は体が大きすぎるから、冷凍に時間がかかり氷の結晶で細胞が破壊されてしまうでしょうが、全身を一瞬で冷凍する技術が確立できれば、蘇生が可能になるかもしれませんね。」

 

 

また、別の専門家はこう語っています。

「生体での復活にこだわらなくてもいいのでは。まず、記憶のメカニズムを解明し、記憶や意識をデータ化してコンピュータで再現する方が有望かもしれません。」

 

蛙や魚など小さな生き物の蘇生は成功例があるのですが、哺乳類では残念ながらまだ成功例がありません。

でも、蘇生に成功した小さな生き物たちは、蘇生前の記憶が残っていることがわかっているので、もし人間が蘇生に成功したら、冷凍保存前の記憶はそのまま残っている可能性は高いらしいですね。

 

当然のことながら、(現時点では) まだ冷凍保存から蘇生した人間はひとりもいません。最初の蘇生者が現れるのは何年後になるのでしょうか。

 

 

 


最終更新日:2017/12/04