「ガン克服後イジメで自殺した少女」と「自ら天国を選んだ少女」の話
世の中には、イジメ、難病、事故など様々な不幸が原因で若くして命を失ってしまう人たちがいます。運命って何?神様って本当にいるの?
そんなことを強く考えさせられてしまいます。ここではそんなお話を2つ、紹介しておきましょう。
アメリカ・オハイオ州の小学校に通っていた11歳の少女ベサニーちゃんは、学校で執拗なイジメに遭い自殺してしまいました。母親によれば、脳腫瘍の治療の後遺症で、笑うと表情がゆがむ症状があり、これを理由にイジメを受けていたようです。
3歳の時に脳腫瘍と診断されたベサニーちゃん。放射線治療を受け、早期にがんを克服していたのですが、治療の過程で神経を損傷し、笑顔がぎこちなくなってしまったのです。
それを理由にひどいイジメを受けていたベサニーちゃんはある日、親友に「もうこれ以上耐えられない」と言い残し、自宅にあった銃で自らを撃って死亡。。。
優しく活発で、水泳と動物と音楽が大好きな少女だったのに…
家族はベサニーちゃんを転校させることも考えていたようですが、1年生の時から通い続けている同校の方が、周囲が事情を知っているため安全だと判断したといいます。
ベサニーちゃんはカウンセラーの助言を受け、応援してくれる友人もいました。しかし、同じクラスの男子児童などからのイジメは止まらなかったのです。
ベサニーちゃんの死後、地域では遺族を支えようとする活動が広がりました。知人の呼びかけで葬儀費用が集まり、遺族は、その寄付金を使ってベサニーちゃんの名で基金を設立し、イジメ撲滅に向けた啓発活動の展開を計画しているそうです。
日本でもなくならないイジメ…
被害者側はもちろんのこと、加害者側も一生心に傷を残して生き続けることになります。
はぁ、イジメや紛争をなくせない人類って、本当に弱い存在なんですねー。
死が迫る中、自らの意思で「治療を受けない」ことを選択したジュリアナちゃん。
助かる見込みのない病状に陥った5歳の少女は、自らの最期を自宅で迎えたのです。
「私たちのかわいいジュリアナが、今日天国へ旅立ちました」
「私は茫然として悲しみに暮れています。でも、同時に感謝の気持ちに溢れ、世界一幸運な母親だと感じています。」
「神様が私にこの素晴らしい子どもを授けてくださり、6年近く一緒に過ごせたのだから」
ジュリアナちゃんは先天性の神経難病にかかっていたのですが、「もうこれ以上は手の施しようがない」となった際、家族でよく話し合って、ジュリアナちゃんは「治療をやめ天国へ行く」道を選んだのです。
ニューヨーク医科大学の医療倫理部門を率いるアート・キャプラン氏は、「ジュリアナさんは非凡な女の子だった」「幼い子どもでも難しい病気のことをよく理解し、思慮深い意見を述べることができることを私たちに教えてくれた」と話しています。
*****
ジュリアナちゃんは2歳の時にシャルコー・マリー・トゥース病と診断され、4歳になる頃には腕と脚が動かなくなっていました。飲み込む力も弱まり、チューブで胃に栄養を送るように。
しかしジュリアナちゃんには、完璧な思考力がありました。だからこそ、両親は病院の医師から難しい決断を迫られた時、当時わずか4歳だったジュリアナちゃんの意見を聞くことにしたのです。
医師らは両親に「今度呼吸困難が起きた時にどうするか、考えておいてください」と告げます。病院へ連れ帰ることも選択肢の一つ。ただ、病院で苦しい処置を受けた後で亡くなる可能性も低くはないといいます。
たとえ一命をとりとめても生きられる時間は短く、おそらく鎮静剤によって ”考えることも話すこともできない” 状態になるでしょう。「病院か自宅か」…どちらを選ぶかに正解など存在しないのです。
母ミシェルさんとジュリアナちゃんの会話内容がブログに残されています。少しみてみましょう。
ミシェル:ジュリアナ、あなたの病気が今度悪化したら、また病院へ行きたい? それとも家にいたい?
ジュリアナ:病院はいや。
ミシェル:家にいたら天国に行くことになるとしても?
ジュリアナ:はい。
ミシェル:ママとパパがすぐには一緒に行けないのは分かるわね。一人で先に行くのよ。
ジュリアナ:心配しないで。私のことは神様が引き受けてくださるから。
ミシェル:もし病院へ行けば、具合が良くなってまた家に帰って、私たちともっと時間を過ごせるかもしれない。あなたがそれを理解していることを確認したいの。病院を選べば、それでママやパパと過ごす時間を延ばせるかもしれないのよ。
ジュリアナ:理解しているわ。
ミシェル:(泣きながら)ごめんなさい、ジュリアナ。ママが泣くのはきらいだよね。ただ、あなたと会えなくなるのはとても寂しくて。
ジュリアナ:大丈夫。神様が引き受けてくださるから。神様は私の心の中にいる。
結局、ジュリアナちゃんは最後の1年半を病院ではなく、自宅とホスピスで過ごしました。
大好きなプリンセスのドレスを着たり、手の込んだ物語やゲームを作ったり、ボランティア活動に訪れる人たちと工作を楽しんだり、足の爪にペディキュアを塗ってもらったり…
しかし、別れはあっけなくやってきます。
病状が急変し、呼吸を維持させる戦いがまた始まりますが、今回は回復してくれずどんどん悪くなるばかり。あっという間に逝ってしまったのです。
最期は母に抱かれ天国へと旅立っていったジュリアナちゃん。これ以外に、本人が望むどんな最良の方法があったというのでしょうか。
この物語を知った多くの人たちは一家の決断を支持していますが、神経疾患を抱える一部の患者たちはこれに異を唱えているようです。
悪者以外のみんなを愛し、明るい光だったジュリアナちゃん。
「どうか、娘のことを忘れないで。彼女が生きていたこと、実在したこと、大事な存在だったこと」
「ジュリアナはいつも忙しく頭を働かせていた。私たちを果てのない美しい場所へ連れていってくれた。私たちが一番生き生きと、素敵な自分でいられるように力づけてくれました」
そして最後に、医療の介入を受けずに死を迎えるという願いをかなえたのです。
この境地にたどり着くまでに、ジュリアナちゃんは精一杯闘いました。この世で生きるにはあまりにも弱々しい体を抱え、誰よりも立派に闘ったのです。
彼女はとても勇敢でした。
そして、ようやく自由の身となれたのです。もう、つらい思いはしなくていい…