子育てに苦しむシングルマザーと貧困問題に立ち向かう小児科医の役割
貧しさゆえに、自分の子供を殺害してしまう母親。そんな悲惨な事件が日本各地で発生しています。母子家庭の2世帯に1世帯は貧困にあえいでいるという現実。
彼女たちの普段の食事は、粉を焼いたものだけだったり白ご飯だけだったり…調味料さえ買う余裕のない家庭も少なくありません。
「子供にはちゃんとご飯を食べさせてあげたい…」
しかし、度重なる夫の暴力に耐えかね、子供と共に家を飛び出してしまったシングルマザーたちには、貧困という現実が突きつけられているのです。
月の収入は10万円ほど。夫からの慰謝料・養育費の送金はなく、一度として生活が楽になったことはありません。生活保護も受けておらず、家賃5万円を支払えば生活はカツカツになってしまいます。
今、日本では「女性の貧困」が深刻化しています。特に、全国で約120万世帯にのぼる母子家庭 (シングルマザー) の困窮が顕著なのです。
そして、
そんな母子家庭の子供たちも含め、6人に1人が貧困状態にある日本の子供の現実に、今、正面から向き合おうとする小児科医たちが増えてきています。
社会の中で子供に最も近い位置にいる専門家として、深刻化するこの社会問題にどう対応していけるのか、手探りながらも動くべき時が今なのであり、その真価が問われ始めています。
小児科医は、子供たちの病気や体のことだけでなく、置かれている社会的な状況にも最前線で気付ける職種なのです。
これまで、貧困問題に対する小児科医の関心は総じて低いものでした。それもそのはず。小児科医の多くは、経済的に恵まれた環境で育ってきているからです。
そんな彼らは「今日の生活費に困る」といった貧困の実態を想像しにくく、目の前の子供の現実に思いが至らない面もあったのではないでしょうか。
それでも近年、状況は変わり始めています。遅ればせではありますが、貧困問題に取り組む必要性は小児科医の共通認識になりつつあるようです。
問題は深刻化し、向き合わざるを得ない状況がそこにはあるのです!
・医療費が払えず、通院や予防接種を控える親子…
・喘息の子に「金がかかるから発作を起こすな」と怒鳴る父…
困窮家庭の子ほど地域から孤立しがちで、どう支援に繋げるかという課題もありますが、そんな中、小児科医が唯一の社会との接点という子供たちもいます。
彼らからのサインを受け止め、代弁する責任が小児科医にはあるのです。
子供にとっての貧困は、単に家庭にお金がないという簡単な問題ではありません。
お金がないことで十分な食事が与えられなかったり、体や脳の発育が悪くなったり、病気や精神疾患の原因にもなってしまいます。
そして、受けられていたはずの教育を受けられない、といった問題も生じてしまいます。親からの虐待も、貧困家庭では多く見られる傾向があるようです。
また、自殺についてあれこれ思い巡らしたり、犯罪、破産による家庭崩壊など、様々な困難が絡まっていることが多いのです。
そのため、家庭は社会的に孤立し、健やかな成長が阻害されてしまいます。
・学校での孤立
・学力不足
・不登校
・中卒
・仕事がない
このような負の連鎖を早期に食い止めるためにも、学校や家庭、地域社会と連携し、改善させていく役割が、小児科医にはあるのです。
チャイルド・プアとは、貧困生活を避けることができなくなっている子供たちの状態のことを指します。その実態は年々深刻化しており、中には、学校給食が唯一の食事という子もいるほどなのです。
子供たちは
と訴える方法を知りません。子供たちは、学校と家庭の間のとても狭い世界で生きています。親がこの状況を隠すことで、子供たちの現状は外からは気づかれにくくなってしまいます。
こういった環境にいる子供たちは「自分はダメな人間なんだ」と自分を責める傾向にあります。
「自分のせいで親に迷惑がかかってしまう」
「自分は我慢しなければならない」
・・・
地域の大人や教師たちは、この大きな問題に巻き込まれるのを避けているようで、身近に貧困家庭が存在しないことにしてしまっているケースも少なくないようです。
そこで、小児科医の新たな役割が大事になってくるわけです。
1. 子育て世代の収入が激減 (リストラ、非正規化)
2. 離婚による一人親家庭の増加
3. 養育費を受け取っている母子世帯は2割にも満たない
※ 日本には養育費を強制的に払わせることのできる機関がありません
親から子への貧困の連鎖を食い止めるためには、国レベルで
・教育の支援
・生活の支援
・保護者に対する就労の支援
などを積極的に行なっていく必要がありますが、予算にも限界があり、全てが明確に取り組まれているわけではありません。
国に頼れないとなると「自分たちで何とかするしかない」と各地で少しずつ貧困整体の子供たちを救う活動が広がってきています。
例えば、生活保護を受けている世帯の子供たちに対してボランティアの大学生たちが勉強を教えてあげたり相談に乗ってあげたり。
こういった支援を受けた、一度は大学進学を諦めかけていた子供たちは「生きる力」を取り戻し、自立への一歩を踏み出すことができるようになるのです。
巣立った子供たちの口から出てくるのは
「恩返しをしたい」
「誰かの役に立ちたい」
という言葉。
負の連鎖を正の連鎖に転換させていくために、
あなたには何ができるでしょうか?