白杖の意味を知り視覚障害者の力になろう!
東京の地下鉄「東京メトロ銀座線青山一丁目駅」で、視覚障害者の男性がホームから転落し、電車にはねられて亡くなりました (2016年夏)。
多くの人がいる中で…
盲導犬を連れ、点字ブロックに沿って歩いていた男性は、徐々に線路側に近づいて行き、転落したといいます。
線路とホームを仕切るホームドアはありませんでした…
視覚障害者にとって駅のホームは「欄干のない橋」ともいわれ、転落事故は後を絶ちません。国土交通省の調査では、過去5年間で400件以上もの転落事故が発生しています。
あるアンケートによりますと、およそ4割の視覚障害者が「ホームから落ちたことがある」と答えているほどです。
誰だってホームから転落する危険はあります。
ホームドアの設置や点字ブロックの整備が求められますが、新駅建設やホーム改修時に実施される場合が多く、ハード面での整備にはどうしても時間がかかります。多額の費用もかかります。
では、「声掛け」など、すぐにでもできるソフト面の取り組みはどうか?
駅員は、白杖を手にした視覚障害者が訪れればホームまで案内したりしていますが、人手は限られますし無人駅だってあるのです。
そこで皆さんにお願いがあります。
駅のホームでは、周囲の人たちに目を配り、みんなの安全を守る意識を常に持っていてほしいのです。
それに併せて、私たちは他にも学ばなければならないことがあります。基本的なことですが、「白杖は視覚障害者を意味する」ということを。
「何をいまさら…」とおっしゃるかもしれませんが、意外と知らない人も多いのです。
そして、声をかけなかったり、手を差し伸べなかったりする「遠慮」をやめなければなりません。
皆さんは、白杖を顔の前に掲げる「SOSシグナル」というものをご存じでしょうか?
まだまだ普及はしていませんが、このポーズを見かけたら、その人の肩を軽くたたき、「何か手伝うことはありますか?」と声をかけてみましょう。
最初は「勇気」が必要かもしれませんが、その一言がとても大事なのです。
最後に、余談ではありますが塙保己一 (はなわ ほきいち) さんのお話を少しだけさせていただきます。
江戸時代に活躍した塙さんは7歳の時に失明しましたが、その後、国学・和歌・漢学・神道・法律・医学を勉強し、47歳の時に和学講談所を開設。
ここを拠点として、様々な資料を編集し、世に多くの貴重資料を残しています。
かのヘレン・ケラーは幼少期より「塙保己一を手本にしろ」と両親に教育され、1937年に来日した際には記念館を訪れています。
このような話を心に留め、視覚に障害のある方々に、ほんの少しだけ気配りを持っていただければなと思います。