課題多き介護保険〜増え続ける負担で制度破綻しないのか
高齢化が進み、介護保険を利用する高齢者は年々増え続け、現在およそ526万人。65歳以上のほぼ6人に1人です。総費用は年間10兆円を超えています。
制度が始まった2000年に比べ、介護保険利用者数と総費用のどちらも3倍に膨れあがっています。
ちなみに、介護保険で利用できるサービスには要介護1〜5と認定された方が利用できるもの (介護給付) と、要支援1〜2と認定された方が利用できるもの (予防給付) があり、介護保険のサービスの一つひとつには国が定めた料金があります。
利用した時の自己負担分を除いた費用は、国・都道府県・市町村が負担する公費と、40歳以上の人が負担する保険料で半分ずつ賄っています。
このため、費用が膨らめば公費も保険料も増やさなければなりません。保険料は40〜64歳と65歳以上では決め方が異なりますが、例えば、65歳以上では当初の月2,911円 (全国平均、3年ごとに改定) から月5,514円になりました。
高齢化のピークはまだまだこれからです!
団塊の世代が75歳以上になる2025年度には、総費用は21兆円程度になるとみられ、保険料も月8,165円程度になると見込まれています。夫婦では月1万6,330円程度。
これはもう限界ではないでしょうか。
制度が始まって以来、しっかりと社会に定着した介護保険ですが、このままでは持続性が危ぶまれています。費用の伸びをどう抑制していくのか、これからは効率化や重点化が大きな課題になっています。
その一環として、これまでに要支援の人を対象にしたサービスが見直されたほか、待機者が多いことから、特別養護老人ホームへの新規入所は原則として要介護3以上に限定されました。サービスを利用した時の自己負担も、一定以上の所得のある人は1割から2割負担に引き上げられました。
さらに、いま議論が本格化しているのが、介護度が比較的軽い要介護1、2の人のサービス見直しや、2割負担の対象者拡大などです。
経団連は、収入の高い大企業の会社員らの介護保険料負担が増える制度の導入に「反対」していますが、現状と将来の展望から考えると、大企業社員や公務員の負担を少し増やす方向 (介護保険負担の収入連動) になっていくことでしょう。
ともかく、
財政を考えればやむを得ない面もありますが、必要な時に頼りになるサービスの量と質はしっかりと確保してもらいたいものです。