不妊症の原因「子宮内膜症」の治療法

 

「不妊症」…といっても原因は様々です。

(大きく分けると以下の4つ)

 

①  女性に原因

卵巣機能不全、子宮内膜症など

②  男性に原因

無精子症、性交障害など

③  男女両方に原因

男女それぞれに①②の原因がある

④  その他

原因不明

 


 

ちなみに、不妊女性の20〜40%は子宮内膜症と言われています。軽症の子宮内膜症では炎症性物質が受精や着床を妨げ、重症の子宮内膜症では排卵障害や卵管通過障害を引き起こし、妊娠しにくくなると考えられています。

というわけでここでは、不妊の原因の一つ「子宮内膜症」の治療についてまとめてみました。

 

 

 

検査法と診断

通常は、問診で「子宮内膜症の疑いがあるかもしれませんねー」と判断された場合、(数分間の) 内診で子宮の後方にしこりがないかどうか、圧痛がないかどうか、卵巣が腫れていないかどうか…などを調べます。

さらに、超音波で卵巣の内側をチェックしたりチョコレート嚢腫 (血液がたまった状態) がないかどうかなどを調べたり、MRI (断層撮影) を使用する場合もあります。また、補助的な検査として血液検査が行われる場合もあります。

 

 

このように、内膜症のほとんどは内診・超音波・血液検査で診断が確定できます。さらに腹腔鏡検査というものもあります。これは腹腔鏡という内視鏡(おへその直下から内視鏡を入れ、骨盤内を観察し、内膜症の部分を取り除いたりすることもできます)で直接診断する方法です。

腹腔鏡検査が最も信頼できる方法です。しかしながら腹腔鏡は、入院して全身麻酔を行う必要がありますし、けっして負担の少ない方法ではありません。

 

 腹腔鏡検査は、内膜症がかなり進んでいて薬などの治療では不充分な人、内視鏡を見ながらの切除・焼灼などの外科的処置が必要な人、不妊症を伴う人などが対象になります

 

 

 

 

治療法

子宮内膜症の治療には、

  1. 手術療法(腹腔鏡手術、開腹手術)
  2. 薬物療法(擬妊娠療法、擬閉経療法)

があり、場合によっては両方を併用して行います。

 


 

①  手術

手術には、病巣部のみを除去する方法と子宮を全部摘出する方法があります。

 

 

【保存手術】

子宮・卵巣は温存し、基本的には子宮内膜症の病巣のみを取り除きます。場合によっては高周波で病巣を凝固したり腹腔内を洗浄し、妊娠しやすくすることもあります。卵巣チョコレート嚢胞 に対しては、嚢腫の核出、高周波で焼灼などが行われます。

 

【根治療法】

子宮と卵巣を全摘します。

 

 病巣が遺残した場合、約10%(卵巣を温存した場合には50〜60%以上)に骨盤痛が残ると言われています。

 


 

②  薬物療法

薬物療法には、鎮痛剤で痛みを抑える方法、ホルモン剤で病巣部を一時的に縮小させる方法、低用量ピルで月経量を減らす方法があります。

 

 

 偽妊娠療法・・・妊娠すると子宮内膜症が改善することが多いことから始められた療法で、黄体ホルモン製剤や低用量ピルなどを服用し人為的に「偽妊娠」状態を作り出します。

 偽閉経療法・・・閉経すると子宮内膜症が改善することから、薬剤投与によって閉経期同様のホルモン状態にする療法

 

 

 

薬の副作用

もちろん、お薬ですから効果もあれば副作用もあります。人によっては更年期症状(のぼせ、ほてり、肩こり、発汗、頭痛)などの副作用を感じる方もいらっしゃいます。

他にも、ダナゾール (男性ホルモンの誘導体) であればニキビができたり体重が増加したりといった副作用が出る場合があります。

 

 

最後に、

GnRHアナログ療法やダナゾール療法では月経を止めるため、治療中は子宮内膜症による月経痛や病気の進行は止まります。ただし、治療を中止すると再び月経が始まり症状が再び進行する可能性はあります。

いずれにしても、良い医師に診てもらい、適切な治療を施してもらうことが大事です。