疲労回復効果を期待する「入浴」でまさかの突然死!?

 

日本人はお風呂が大好きです。「清潔」& 「リラックス」& 「健康」のために。確かに、ゆったりと湯船に浸かってお風呂に入ると疲れがとれますし、さっぱりするものです。

しかしながら、冬 (寒い時期) には「突然死」(心筋梗塞など) が起こりやすくなるのも確かです。そう考えると、お風呂は体に良いものなのか悪いものなのかわからなくなってしまいますね。

 

 

冬場に増える入浴中の突然死

日本において、「お風呂で亡くなる」人の数は毎年約2万人と言われています。そのほとんどが60歳以上の高齢者 (自宅:屋外 = 1:3)。

主な原因は2つ。「事故」と「ヒートショック」です。

 

◉  事故

お風呂場での事故の原因の多くは段差や滑りやすさによる転倒です。他にも、「火傷」「溺れる」などの事故があります。


◉  ヒートショック

急激な温度変化による血圧の変動「ヒートショック」もお風呂場での脅威となります。高齢者に限らず、若い方にとっても危険です。「脳出血」「脳梗塞」「心筋梗塞」などの原因になるのです。

 

※  事故 & ヒートショックを併せて、直接的な死因の8割は溺死となっています

 

 

うーん。。。

お風呂場は健康 (心臓など) に悪いということなのでしょうか?それとも、お風呂の入り方に問題があるのでしょうか?

 

 

 

毎日入る人は死亡リスクが減る?

お風呂は本当に体に悪いのでしょうか?例えばフィンランドではサウナが一般的ですが、そんな彼らを対象としたある研究をみてみましょう。

1週間に1回サウナ入浴している人の心臓突然死を1とすると

 

 週2,3回の人・・・0.78

 週4〜7回の人・・・0.37

 

といった具合に、頻度の高い人ほど突然死の割合は低下しています。この研究では、サウナの回数が増えると致命的な「冠状動脈性心疾患」「心血管疾患」などによる死亡リスクが低下することがわかったのです。

 

 

つまり、この結果からは「お風呂そのものは体に良い」「心臓・血管のためにはなるべく毎日入った方がいい」ということがわかります。

結論として、お風呂での突然死の原因は「お風呂の入り方にある」と考えられるのではないでしょうか。

 

 

 

危険なのは「熱中症」

再度、高齢者がお風呂に入ったときのリスクを考えてみましょう。循環器や心臓などが弱っている高齢者がお風呂に入ると皮膚の表面の血管が広がります。すると、手足に血液を取られ、脳の血液が少なくなり、血圧が急激に低下します。

その結果、意識がもうろうとし、お風呂の中で体が熱を吸収して熱中症を起こすのです。意識を失っているうちに、溺水する可能性もあります。

 

このような血圧の変化は、冷えた体でお風呂に入ると起こりやすいと考えられます。また、お湯の温度が42度を超える場合、入浴直後に急激な血圧上昇を起こす可能性があります。その後血圧が下がるため、血圧変動の幅がとても大きくなります。

こうして「意識の低下」「熱中症」「脳梗塞」を引き起こすのです。

 

 

 

入浴には適切な準備が必要です

以上のようなことから、入浴中の突然死を防ぐためには「適切な準備が大切」ということになります。

 

まずは入浴前に家族に声をかけ、

 

①  脱衣所 & 浴室の室温を25℃前後に保ち、

②  お風呂のお湯の温度を42℃以下にし、

③  入浴の前・中・後とこまめに水分補給をし、

④  お湯に浸かる時間は10分以内!

⑤  浴槽からは急に立ち上がらないよう心がけましょう!

 

 

 

おわりに

適温のお湯にある程度浸かっていると全身が心地よい温度に包まれ、脳の緊張がなくなり、全身がリラックスした状態になります。このリラックスを感じた人は「疲れがとれた」と感じるわけです。

こうしてリラックス感を味わい、脳の緊張がとれた状態で風呂から上がるとすんなり睡眠に入ることができます。

 

つまり、突然死のリスクを減らし、健康効果を高めるための入浴法は、適切な入浴法を守り、毎日欠かさずぬるめのお湯に浸かること。

くれぐれも、冬場に多発する高齢者の入浴中の事故にはご注意ください。