発症しても気づきにくい「緑内障」の症状・原因・治療法【まとめ】
「中途失明の原因」第1位は緑内障です。全体の約3割を占め、第2位の網膜色素変性を大きく上回っています。「自分は緑内障になるはずがない」と信じているかもしれませんが、それは大きな間違いです。ある調査では、40歳以上の20人に1人が緑内障という結果が出ています。そもそも緑内障はけっして珍しい病気ではありません。加齢とともに、緑内障は増えてきます。とはいえ患者さんの多くは視野障害の自覚がないため、発見が遅れがちです。症状はゆっくり進むので気づきにくいのです。
緑内障の症状
緑内障は、何らかの原因で視神経が障害され視野が狭くなる病気です。眼圧の上昇が病因の一つとも言われています。近年、40歳以上の日本人の6%ほどが緑内障に罹患していることがわかってきています。なんと、日本人の約400万人の方々が緑内障ということになるのです。「緑内障=失明」と恐れている方がいるかもしれませんね。実はそうではありません。高血圧や高脂血症と同じような慢性疾患なんです。ほとんどの方は点眼治療で進行をくい止めることが可能です。
とはいえ、前述した通り、自覚症状がほとんどないことが厄介と言えるでしょう。ただし、急性発作を起こすと眼圧が急激に(40~60mmHgまで)上昇するため、見え方の異常のほかに強い頭痛や目の痛みを伴います。また、左右の目で緑内障の進行スピードは異なります。そのため、片目の緑内障が進行しても、もう片方の目が補い異常になかなか気づきません。
原因
一般的には、目の硬さである「眼圧」が高い状態が続くと目の奥に付いている視神経が障害され緑内障になると考えられていますが、実際のところはよくわかっていません。ちなみに眼圧の正常範囲は10~20mmHgで、20mmHgを大きく超えると視神経がやられる可能性が高くなります。しかしながら、眼圧が高くない人でも緑内障になるため、原因は眼圧以外にもあると考えられています。たとえば、「視神経が弱い」「血流が少ない」「視神経に毒として働く物質が存在する」「免疫の異常」「生まれつき眼圧が高い」などです。
メガネなしで視力0.1以下は要注意
近視は緑内障のリスク要因のひとつです。眼鏡を外して0.1が見えない人は特に注意が必要です。また遺伝的要因もありますので、家族に緑内障の方がいれば一応注意しておきましょう。ボールが当たるなどの外傷を受けたことがある方もなりやすい傾向にあります。ともあれ、定期的に検査してみると安心ですね。
診断
診断には、「眼圧検査」「目の奥の検査 (眼底検査)」「視野検査」の3つが必要です。慢性緑内障では眼圧が高くないこと(正常眼圧緑内障)も多いのですが、緑内障の種類を決めて治療方針を考えるためにも眼圧検査は欠かせません。他にも、緑内障の種類を知るために、目の上にレンズをのせて隅角を観察する「隅角検査」や角膜・結膜などの目の前の部分を観察する「細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査」も重要です。
治療
治療は「薬物療法」「レーザー治療」「手術」の3つに大別されます。
手術は、薬物 (点眼) 療法やレーザー治療で眼圧の目標数値に達しない場合に行われたりします。主に、房水の流出路の流れを良くする「線維柱帯切開術」と、眼外に房水の流出路を作成する「線維柱帯切除術」の2種類があります。ちなみに緑内障の手術は視力を回復させるものではありません。悪化を食い止めるための手術です。
緑内障で失われてしまった視野は、現在の医学では回復しません。言い換えるならば、自覚症状のない早期のうちに緑内障を発見し、点眼で進行をストップすることができればベスト!全ての病気に共通することですが、「早期発見」「早期治療」が一番大切なことなのです。