「無職」でも幸せな国イタリアに学ぶこと☆

 
人口が減少し、衰退していく (と考えられている) 日本社会に対して、社会学者の上野千鶴子さんは「皆で貧しくなればいいじゃないか」といった主旨のことを発言したことで、ネット炎上を起こしてしまいました。

「日本社会が貧しくなっている」という現実は、多くの国民にとってまだまだ受け入れ難いことのようです。そこで今回は、「イタリアに学ぶ」と銘打って、上野さんの発言を建設的に捉えて考えてみたいと思います。

 

 

 
 

人口が減ると経済は成長しないの?

まず、人口減少を食い止めることは余程の策を講じないと不可能なことであり、人口を増やすには移民を受け入れるしかないと思われます。

ただ、多文化共生に耐えられないであろう日本人にとって、移民政策を受け入れることは事実上無理なことでしょう。つまりは、今後、貧しさを受け入れて生活していくしかない…かもしれないのです。

 

上野さんに対する批判はともかくとして、人口が減少する社会においては、貧しさを受け入れる以外に選択肢はないのでしょうか?皆さんはどう思われますか?

まず、経済学の世界では、経済が成長する要因は3つしかありません。1つは労働投入、2つ目は資本投入、そして3つ目はイノベーション(革新)です。より多くの労働力と資本を投入し、イノベーションを活発にすることで経済は成長するとされています。

 

 

ということであれば、労働投入が減少していくことになる日本は、経済成長できないのでしょうか?どうやら、この人口減少によるマイナスをカバーするためには、イノベーションを活発にして生産性を向上させなければならないようです。

逆に言えば、イノベーションさえ活発にできれば、人口が減るからといって成長を諦める必要はまったくないとも言えるでしょう。

 

 

 

 

多くの人が「無職」なのになぜか豊かなイタリア
 
イノベーションといえば、グーグルやアップルに代表される最先端の情報技術を思い浮かべる人も少なくないことでしょう。確かに、このような技術を持つ企業がたくさん存在すれば、経済成長は加速するでしょう。

ただ、残念なことに日本にはこうした企業が少なく、イノベーションによって人口減少を補うことは難しい…ようにも思えます。しかし、悲観することはありません。派手さこそないものの、地味なイノベーションをフル活用する…という手段もあるのです。その良い例がイタリア経済です。

 

日本はこのところ著しく経済力を低下させており、1人当たりのGDP(付加価値)は先進国の中ではかなり低くなってきています。日本の企業はあまり儲からなくなっていて、これに伴い労働者の所得も伸び悩んでいます。

そんな状況の中、主要先進国の中で、日本と並んで1人当たりのGDPが低い国イタリアはどうなのでしょう?日本同様、イタリアも生産性が低いのでしょうか?いや、実はそうではありません。

 

不思議なことに、生産性においては、イタリアは日本よりも圧倒的に高いのです。なぜ?

 

それは、イタリアには無職の人が多いため、

 

 

分母の総労働時間が短く、結果として生産性が低くないんです。イタリアの年間労働時間は1725時間と日本とほぼ同じなのですが、大きく違っているのは労働者の数。

日本における全人口に占める就業者の割合は約50%。これは老人や子供も含めた数字において、国民の2人に1人が働いている計算になるのです。

 

一方で、イタリアの就業者は全人口のわずか37%。つまり、イタリアでは多くの人が働かずに遊んで暮らしている計算になるのです。日本は、イタリアの1.4倍近くの労働力を投入して、ようやくイタリア並みの付加価値を実現していることになるのです。

 

 

 
 

つまり、「人口減少 = 貧乏国」ではない!?
 
イタリアは先進国ですが、グーグルやアップルのような先端企業があるわけではありません。それでも高い生産性を実現しているということは、業務全般の効率が高いということでしょう。

このように、イタリアを例にみれば、何も人口が減ることがそのまま経済の衰退を意味しているわけではないのです。効率さえ高めることができれば…

 

 

要は、人口減少によるマイナスの影響をカバーするために、どうにか物理的に労働者の数を増やすか、イノベーションによって生産性を拡大しさえすればいいんです。

物理的に労働者の数を増やすには、女性の社会参加を徹底的に進めるか、移民を受け入れるしかありませんが、現状、日本社会はその両方についてかなり消極的です。イノベーションを促進する方策としては、規制緩和、ベンチャー企業の活性化、業務のIT化、雇用の流動化といった方策がありますが、いずれについても日本はやはり消極的ですね。

 

というわけで、

確かにこのまま何もしなければ、日本の潜在成長力は人口減少に伴って小さくなっていくことでしょう。上野さんの真意はここにあるのかもしれません。彼女の主張は、こうした状況を逆説的に説明したものと理解すべきではないでしょうか。

 

 

では、いったいどうすればいいのでしょうか?

 

 

 

AI(人工知能)とロボットが多くの問題を解決してくれる
 

 

2040年の日本の総人口は1億728万人。現在より15%ほど減少しています。しかも、その内訳は高齢者が多く、労働人口は減少の一途。。。

この問題を解消しなければ、短期的な成長すらままならないという状態にあります。大量の移民を受け入れない…ということであれば、残された手段はAIの徹底活用しかないのかもしれません。

 

あらゆる業種でAIをフル活用し、日本経済が持つ供給力を拡大することができれば…

あなたは、AI化された社会とうまく付き合っていく自信ありますか?日本がこれから経済成長できるのかどうかという問題は、そこにあるように思えてなりません。

 

 


最終更新日:2017/12/02