【ガーナのユニークなお葬式】天国への旅立ちをダンスと笑顔で祝福

 

日本のお葬式といえば、厳かな雰囲気の中でお経が読み上げられ、故人を想い、別れを悲しみ、暗い雰囲気が会場全体を覆っている。。。こんな感じではないでしょうか。

ただ、ところ変われば文化も変わります。アフリカのガーナでは、会場全体に大ボリュームで音楽が鳴り響き、太鼓などの演奏隊が楽器を打ち鳴らしながら楽しげに踊り狂うのです。

 

金曜日の昼下がり。ギニア湾から吹き抜けてくる湿った海風が漁師の町を優しく包み込み、70代で病死した男性の遺体が海を見下ろす部屋に運び込まれてきます。

「なんで私を置いて先に行っちゃうのっ!」

 

喪服を着た妻らしき女性が天を仰ぎ、人目をはばからず号泣。遺族たちの中には、気を失いそうになり、両脇を抱えられながら部屋を後にする人もいます。

民族衣装で着飾った故人は、薄いカーテンの先のベッドに横たわっています。ただ、明らかに日本と違うのは「ミラーボール」。赤青緑とカラフルな電光色が室内を鮮やかに照らしているのです。

 

 

日没後、賑やかな通夜が始まります。「今夜は遺族に寄り沿おう!」「ヘイッ!」・・・若い男性のDJがマイクでそう発すると、打楽器隊が繰り出して、アップテンポの音楽を奏でます。スピーカーからは、ロック調のゴスペルが大音量で流れています。

遺体にも伝わる重低音の振動。。。隣の部屋では参列者がノリノリでステップを踏み、思い思いの振り付けで踊り続けるのです。

 

実は、故人は数ヶ月前に亡くなっているんです。土葬が一般的なガーナでは、葬儀が執り行われる日まで、数ヶ月間「フリーズドライ」な状態なんです。

それはさておき、ガーナの葬儀では「涙」と「笑い」が交錯しています。ある女性は、さっきまで遺体のそばで号泣していたかと思いきや、しばらくすると両手を高々と掲げ、音楽に合わせて大きな体をユッサユッサと揺らめかします。

 

そして、5分ほどしてふと空を見上げ、恍惚とした表情を浮かべるのです。漆黒の闇夜に白い歯がぼんやりと浮かんでいます。

 

 

(ちなみに、ガーナ北部に多いスリムの人は、死後24時間以内に埋葬して簡単に葬儀を行うようです)

 

ただ、ガーナでは「死」 =  「新たな旅立ち」と考えられているため、故人のために派手に盛大にやってあげようとする習慣があります。そのため葬儀は、「悲しみ」よりも「祝福」の儀式としてどんちゃん騒ぎとなるケースが多いようです。

もう一つ、余談ではありますが、葬儀は2〜3日間執り行われ、準備に数ヶ月、年収の半分の費用を費やして行うこともあるのだとか。。。

 

「踊っているうちに彼と過ごした楽しい思い出が蘇ってきて、心地よくなったの。」

未亡人はこうはにかんで話してくれました。

 

最愛の人を亡くし絶望の淵にいる遺族たちは、涙を出し切った後は故人を天国へ気持ちよく送り出そうと全身全霊で踊ります。

翌日、ユニークなデザインの棺桶が届きます。ガーナでは、故人の人生にちなんだ棺桶をオーダーメイドするのだそうです。

 

 

 

《 ユニークな棺桶 》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

故人は学校に通ったことがなく、生涯工場で働き続けていました。子供に「自分と同じ惨めな思いはさせたくない」と、酒もタバコもやらず、給料の大半を子供の教育費につぎ込んだのです。

そんな故人の思いが詰まった棺桶はこれです ↓

 

鉛筆とノートの棺桶。やはり自身も学校に行って勉強したかったのでしょうねぇ…

 

 

「父は私に教育という最高の贈り物をくれた。葬儀は、父にお礼をする最後のチャンスなんです。だから、父の思い入れの強かったものをデザインして棺桶を作りたかったんです。」

 

 

・・・

 

その後、教会で葬儀が始まります。参列者の表情は、通夜の時よりさらに明るくなっています。「ハレルヤ〜♪」「天使が天国で踊ってる〜♪」

一通り、歌とダンスが終わると牧師さんが説教を始めます。「お金に執着してはダメだよ」といったようなことを真面目な顔して話すのですが、口調がちょっと変なので会場が何度も爆笑に包まれます。わざとです。

 

 

「なぜ葬儀で人を笑わせるのかだって?」

「だって、彼 (故人) は子供たちに教育という素晴らしい贈り物をしたんだよ。その彼が天国へ旅立つんだ。みんなで楽しく祝ってあげようじゃないかっ!」

 

ただ、こうした派手な棺と賑やかな葬儀の歴史は浅く、半世紀ほど前、ある大工さんが身内のために棺に派手な装飾をしたのが始まりだと言われています。そして、DJなどを雇うディスコ調は近年の流行らしいです。

こうして、形式にとらわれることなく感情を思う存分にさらけ出すガーナの葬儀は、全くもって日本とは正反対ですねー。もちろん、死者の尊厳を重んじる気持ちに変わりはありません。

 

 

父の葬儀を取り仕切り、悲しみと疲れから終始表情が沈んでいた娘さん。最後は周囲から誘われるがままに踊っているうちに、いつのまにか空に向かって両手を広げ、本来の笑みを取り戻していました。

「最高の式だった!きっと父も天国で喜んでいると思うわ。」

 

そう語る娘さんは、いつのまにか黒い喪服から白いドレスに着替えていました。

 

 

 

🔵 ガーナの基本情報

 

 国歌:神よ、祖国ガーナを賛美したもう

 公用語:英語

 首都:アクラ

 人口:およそ2,500万人

 独立: 1957年、イギリスから

 宗教:約7割がキリスト教徒

 

 

ガーナはダイヤモンドや金を産出しており、カカオ豆の産地としても有名です。また、2010年からは油田で原油生産が始まりました。今後、国際的に大きな注目を集めていくことでしょう。

 

 

 

 

関連記事: