杉良太郎さんはなぜ借金してまで寄付をするのか?

 
時代劇の隆盛期を生きた俳優の一人、杉良太郎さんは「杉様」の愛称で中高年の女性ファンから絶大な支持を得ています。

そんな杉さんは「自分を担保に1億円の借金をして寄付」するなど、慈善活動に積極的に取り組んでいるのです。

 

これは、近年よく耳にする「偽善」「売名行為」といった類のものとは全く無縁の、真の福祉の姿といっていいのではないでしょうか。

なかなかできるものではありませんよね。

 

 

 

 

 慈善活動暦半世紀以上のベテラン 

 

「私にとってはいたって普通のこと。自然体で人のために役立てれば、とやっています」

 

こう話す杉さんに対し「芸能人が慈善活動するなんて、どうせにわかで人気取りのためなんじゃないの?」といった疑いの目を向ける人がいるかもしれません。

しかし、杉さんの場合はそうではありません。

 

15歳の頃から慈善活動に取り組み、独身時代は知名度が上がっても、慎ましくアパート生活をして寄付を続けていたそうです。売れたからといって豪奢な生活を送ることなく、初心貫徹で福祉の心を持ち続けているのです。

 

 

 

 

 刑務所への慰問活動 

杉良太郎が刑務所を慰問する理由

 

杉さんの慈善活動の中で、最も長く続けている活動が「刑務所への慰問活動」です。慰問活動を通して、杉さんの目から見た刑務所内の様子や改善点などを、政府に意見として提出することもしばしばあります。

 

 

 
 

 人災支援にも積極的な杉さん 

エイズ、肝炎、公害訴訟、水俣病などの “人災” に対しても、杉さんは積極的に関わってきています。

ベトナムへの支援、受刑者更生など、様々な社会貢献活動に携わる杉さんは、数年前から「知って、肝炎プロジェクト」の特別参与を務め、肝炎に対する正しい知識を広め、偏見や差別をなくすべく働きかけているのです。

 

「C型は、飲むだけで完治するいい薬もできています。早期発見に繋げるため、一人でも多くの人に検査に行くことを勧めたい」

 

 

 
 

 「どうして福祉活動を?」 

遠山の金さん俳優、杉良太郎

 

杉さんはこう訊ねられるのが一番困るといいます。

「何かドラマチックな経験をして福祉に目覚めたわけではない。人気者になってお金がたくさん入ってきて、使い道に困ったわけでもない。」

 

ある政治家に、『そんなに巨額の寄付をして、芸能人って金持ちなんだな』と言われたことがあるそうです。しかし、杉さんが巨額の寄付をする理由はそれだけではありません。
 
例えば、

杉さんは、日本の孤児を育てていただいた中国に感謝し、中国残留孤児に1億円を寄付したことがあるのですが、この時はすでに家も会社も抵当に入っていたので、自身の身体を担保に銀行から1億円を借り、寄付を実行したのです。

 

10年かかってその借金を返済したと言われていますが、ここまでして寄付をするような人はまずいないのではないでしょうか。

 

 

子供の頃は、「親孝行のため、お金を稼げる人になりたい!」と願っていた杉さん。実際に稼げるようになると、お金に対する執着がなくなり、そして慈善活動に夢中に。

おそらく、先天的なもの、遺伝子に刷り込まれていた「福祉」マインドを淡々と実行されているだけなのかもしれませんね。

 

 

 

 

 東日本大震災では大型トラック15台で駆けつける 

大震災支援活動をする芸能人

甚大な被害をもたらした東日本大震災では、支援の遅れていた地域へ率先して炊き出しに出向き、支援物資を携え駆けつけました。

当時、支援物資が東京では手に入りにくい事情もあり、大阪まで手配に向かったというのですから、個人でやるレベルではありませんよね。

 

 

 
 

 海外でも活動を 

ベトナム孤児を養子にした杉良太郎

杉さんはベトナムへの支援も20年以上続けています。中でも、孤児院で生活している孤児たちを80人以上も養子として迎えていることにびっくりです。

 

ある時、子供たちにチョコレートをあげたら彼らはそれを食べない。「美味しいから食べな」と言うと「(お菓子よりも)  お父さんやお母さんがほしい」というのです。

これを聞いた杉さんは堪らなくなり外へ出て泣き、しばらく泣いてから「僕が君たちの父親になる!」と即座に4人を養子にしたそうです。

 

 

 
 

 たくさんの真実に出会った杉さん 

 

「人間って嘘泣きするでしょ。作り笑いもすればお世辞も言う。でも、施設の人たちとの付き合いは人間対人間。その人たちの笑顔も涙も、全部真実なんです。」

 

「熊本にあるハンセン病施設・菊池恵楓園で『遠山の金さん』のお芝居を演じた時、身体の不自由な人たちが巻き起こした拍手の音は今でも耳に残っています。」

 

「いくらお金を出しても買うことのできない真実の拍手だからこそ、一生忘れません。私にとって、施設で出会う人たちこそが人間の真実を教えてくれる“先生”なんです」

 

 

 
 

 おわりに 

慈善活動に私財を投じた有名人

慈善活動に投じた私財は総額数十億円とも・・・

 

このような、常識の範疇を超えた福祉活動を通して、自分で作詞を手がけるようになり、世の中に対する疑問や憤りを歌詞に、また趣味の絵画にぶつけるようになったという杉さん。

新曲「ひとり旅」には、旅がもたらしてくれる人生の真実の姿が、爽やかに描かれています。
 

 

最後に、「寄付したくてもできない」という方に、杉さんからのメッセージをお届けしましょう。

 

福祉をやるには確かに時間とお金がかかる。 特にお金がないと見栄えのいい福祉はできません。 でも、お金がない人は時間を寄付すればいい。 お金も時間もない人は、福祉に対する理解を示し、実際に活動をしている人に拍手を送るだけで十分。 それでもう立派な福祉家なんです。福祉ってそういうもんです。

 

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杉 良太郎(すぎ りょうたろう)

1944年8月14日兵庫県神戸市生まれ。歌手、俳優、財団法人日本・ベトナム文化友好協会理事長。法務省特別矯正監。外務省日本ベトナム特別大使。ベトナム社会主義共和国ベトナム日本特別大使。ハワイ州ホノルル市名誉市長。シンガポール日本文化協会名誉会長。麻薬追放協会会長。妻は演歌歌手の伍代夏子さん。
 
 


最終更新日:2021/05/30