記者の愚問を金メダルに変えた内村航平のライバルの一言

リオデジャネイロ五輪の体操男子個人総合は、内村航平(27)が最終種目の鉄棒で逆転し2連覇を達成!!!団体総合との2冠に輝きました (2016年8月)。

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0.901の大差を追う最終種目。G難度「カッシーナ」などの離れ技を織り混ぜ雄大に演じあげた内村。

それでも、結果を待つ彼は半ば諦めていました。技の難度が圧倒的に高かった22歳のオレグ・ベルニャエフ(ウクライナ)に「負けた…」と思っていたのです。

 

しかし、最後に登場したライバル (ベルニャエフ) は最終演技の着地で体が動いてしまいました。体操の神様が最後に微笑んだのは…日本のエースだったのです。

予選、団体総合決勝と全種目を戦ってきた内村の体は満身創痍でもうボロボロ。最後はギックリ腰みたいな状態にまでなっていた内村。試合後は歩くのもやっとでした。

痛みに耐え、止めた最後の着地がわずか0.099点差での「金メダル」に繋がったのです。

 

 

 内村の母、周子さん 

体操内村航平の母の目立った応援

息子の出番になると観客席から声をかけ、演技が始まるとすぐに目を閉じて祈る。歓声が上がると目を開けてホッとする。6種目全て、ずっとその繰り返しでした。

「とにかく無事に演技を終えてほしい」

 

いつもそう思っていました。極端に言えば、順位はどうでもいい。器具が壊れる可能性だってある。何が起こるかわからない。生まれた時から、結婚して2児の父親になった今でも、子を第一に思う母。

息子の一番のファンを自称し、賑やかに応援する姿はお馴染みの光景です。世界王者を育てた母として注目される母・周子さんは、地元長崎で夫と営むスポーツクラブで、毎日忙しく元気に活動しています。

 

 

 ライバル、ベルニャエフの素晴らしい人間性 

体操男子内村航平のライバル、ベルニャエフ

敗れたベルニャエフは内村のことをこう讃えています。

「内村は体操の神様。水泳のフェルプス(アメリカ)や陸上短距離のボルト(ジャマイカ)みたいなもの」

 

自らの敗北を謙虚に受け止められることは、強くなるために欠かせない資質の一つでしょう。最終種目での際どい大逆転劇で幕を閉じたリオ・オリンピックの体操男子個人総合。

連覇を達成した内村に、採点批判ともとれる質問が飛んだときのこと。やり取りに割って入ったのは2位になったベルニャエフでした。

 

「スコアはフェアで神聖なものだと皆知っている。質問した人に言いたい。今の質問は無駄だと思う。」

と、静かに記者を諭したのです。

 

逃した金メダルが惜しくないわけはありません。しかし、彼が口にしたのは言い訳でも不服でもなく、審判への敬意とライバルへの称賛でした。

4年後の東京オリンピックでは、きっとリオより強くなった彼と会えることでしょう。

 

名勝負に水を差す「無駄な質問」は、ベルニャエフの答えを引き出した瞬間、「最高の質問」へと変わったのです。尋ねた記者もきっと救われたに違いありません。

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