「2025年問題」で高齢者たちの死に場所はなくなるの?

 
「2025年問題」という言葉をご存知でしょうか。団塊の世代が皆75歳以上になり、医療・介護の提供体制が追いつかなくなる問題のことです。

 

 

「受け入れるベッドはありません。どこか他の病院 (施設)を探して下さい」

 

当たり前のようにこう言われてしまう日はそう遠くはないようです。

 

 

今すでに、高齢者の貧困が問題になっています。老後の貧困はひとごとではないのです。
 
「このままでは、高齢者の9割が貧困化し、貧困に苦しむ若者もどんどん増えてくる」と訴える専門家までいる状態でもあるのです。

 

 

実際、生活保護を受給する高齢者は増加中で、2016年春の時点でおよそ80万世帯が生活保護を受けています。

 

昔なら子ども夫婦に扶助してもらうことが当たり前だったのですが、今は核家族の時代。しかも、頼りの子どもは派遣切りやニート。

高齢となり、大病して貯蓄も尽きたら……

 

 

今回は、そんな状況も十分予想される近未来の「高齢者経済事情」について少し話してみたいと思います。

 

 
 

 

高齢者が貧困に陥る典型的なパターン

 

病院でも自宅でも死ねない高齢者たち

 

1. 病気・事故で高額な医療費がかかる

2. 高齢者介護施設に入居できない

3. 子供がワーキングプアや引きこもりで親に依存する

4. 認知症になっても周りに頼れる人がいない

5. 熟年離婚

 

 

病気、介護、離婚、、、

こうして、独り寂しく途方にくれる高齢者男性も多くいるのです。

 

 

 

 

老母と息子の生活苦の例
以前、こんな話を知り合いのケアマネさんから聞いたことがあります。80歳の老母と45歳の息子さんのお話です。

 

福祉施設に勤める息子さんの給与は手取りで23万円。亡き夫の会社の借金を被った息子さん。今も返済は続いています。おまけに、賃貸マンションの家賃も息子が支払い、

その代わり、母親は年金から光熱費と食費を払っている生活を送っているのです。実に大変な暮らしぶりなのです。他にも、母親の医療費や、息子さんの大学時代の奨学金返済も続いているような状態なのです。
母も息子も互いがいないと暮らしていけず、双方向で依存しあっているのです。

 

 

ある専門家によれば、

貧困から人が落ちていく様子を次のように語っています。
 
仕事、家族、住居を失い、金銭を失い、ついには野宿・・・

 

 

ここまで落ちると、そう簡単には這い上がれません。住所がないとハローワークで職も得にくく、生活保護を受けるのにも時間がかかってしまいます。

「生活保護の申請をしなかったり、申請しても追い返されて野宿になる高齢の方にもたびたび出会います」

 

この母子も、そうならなければいいのにと願わずにはいられません。。。

 

 

 

 

病院でも自宅でも死ねない時代に…

2025年問題で介護と老後が貧困にやられる

 

ある晩、吉田さん(仮名) は容体が急変した寝たきりの父親(85)を救急搬送しようと119番に通報しました。救急隊員は必死になっていくつもの病院にあたるのですが…

どこも受け入れてくれません。

 

実は、近くの救急病院全てが、吉田さんの父親と同じように「看取り」をする高齢者たちでいっぱいだったのです。

 

それ以前に、吉田さんは自宅で父親を看取ろうと何人もの「在宅医」に訪問診療をお願いしていました。自宅で亡くなる場合、かかりつけ医がいないと「不審死」として扱われ、警察に届けないといけないからです。

しかし、、、

 

「今の患者さんで手いっぱいなんです」と、全て断られてしまっていたのです。

 

もう病院でも家でも死ねない時代になってしまったのでしょうか?いったいどこで死んだらいいのでしょう?

 

 
 

 

「2025年問題」を真剣に考えよう!

「2025年問題」には、社会保障費のさらなる膨張と、医療・介護の人材不足という大きな2つの問題が横たわっています。

今は75%の人が病院で亡くなっていますが、これだけ高齢者が増えると、病院のベッドだけでは足りません。ならば「自宅で最期を迎えたい」と望んだとしても、、、

 

在宅医や訪問看護師、訪問介護ヘルパーの数が足りていないのです。

 

このような状況がわかっているにも関わらず、行政の動きは非常に鈍いのです。対策をとろうと国や自治体、医師会などが本格的に動き出したのはわずか数年前。

国は、「住み慣れた地域で最期まで」をスローガンに、在宅医療・介護の充実を軸にした「地域包括ケアシステム」の構築を急いでいます。

 

しかし、これに呼応して「在宅医の充実」に取り組んでいる自治体はほんのわずか…

どうやら、「地方都市ではいまだに高齢化問題への対応より、ハコモノ開発のほうに予算がかけられてしまう」という嘘のような現実があるようで。。。

 

行政の幹部たち、議員さん、医師会の人たち、もっと真剣に未来のことを考えてください!

 

 

 

 

一方で「希望の光」も

悩み苦しみの中に差す希望の光

 

頭の固い人たちや、私利私欲しか頭にない人たちはさておき、

こうした超高齢社会の近未来図に危機感を抱き、立派に行動している「熱い人たち」もいます。

 

例えば、横浜市では在宅医と介護施設のケアマネが協力し、施設での看取りを実現させています。他にも、地域のキーパーソンや医師・看護師を中心に、様々なイベントや勉強会でゆるくつながっている埼玉県幸手市、認知症の高齢者を地域ぐるみで見守る福岡県大牟田市……。

各地で、2025年問題に立ち向かおうとする「芽」が出始めているのです。

 

 

 
 

おわりに
 
2025年に向け、これらの「芽」を大きな「木」に育てていかなければなりません。ただ、それは一部の「熱い人たち」だけでは到底難しく、みんなの力で実行していかなければならないのです。

本来であれば「国民の税金」を給料としている人たちが積極的に動いてもらわないと困るのですが、残念ながら彼らは率先して動くタイプの人間ではありません。

 

誰かに指示してもらわないと動けないのです。

 

ならば、地域の「熱い人」たちに動いてもらい、それに続く有志たちを巻き込んでいくしかないようです。

 

 

皆さんも、まずはほんの少しだけでもこのような活動に参加してみませんか?

いずれは巡り巡ってあなた自身のためになり、あなたの大切な子供たちのためでもあるのですから。

 

頑張って、安心して死ねる世の中を作っていこうではありませんか!

 

 


最終更新日:2017/11/30