なぜ高齢者の犯罪は増え続けているのか?

 
2016年夏、サンバを踊る東京杉並区のお祭り会場に、火炎瓶が投げ込まれる事件が発生。15人が怪我を負ってしまいました。犯人は60代の男性。

その後、男は自宅で首を吊って自殺。。。

 

 

いったいなぜ、こんなことが起こってしまったのでしょうか?

 

・・・

 

近年、高齢者の犯罪は急増しています。

例えば万引き。かつては少年犯罪の代表的なものでしたが、今では高齢者の犯罪です。また、高齢者による暴力事件や性犯罪も増えてきていると言われています。

 

 

 

 なぜ高齢者の犯罪は増え続けているのか? 

原因はいくつか考えられます。高齢者が元気になり、活動的になったこともあるでしょう。貧困老人の問題もあるでしょう。しかし高齢者犯罪の最大の原因は、貧困よりも「孤立」と「孤独感」だと言われています。

最終的には、「孤独の病」とも言われる「自殺」へと走ってしまうのです。

 

高齢者万引き犯の中には、お金があるのに盗む人もいます。少年のような、遊びやスリルを求めての万引きとは違います。その背景には、ストレス、孤独、不安といった刹那な事情があるのです。

 

また、学校も会社も関係なくなり、社会との関わりは薄れ、家族や親戚との人間関係も希薄になってしまった結果、犯罪へのブレーキが効かなくなってしまっている、とも言えるのです。

 

 

 

 高齢者が暮らしにくい現代社会 

昔なら、お父さん、おじいちゃんというだけで尊敬されたものです。しかし今は違っています。世の中のルールがめまぐるしく変わる中で、適応できなくなった高齢者たち。

それだけ、ストレスが溜まります。

 

報道によれば、今回自殺した男性は1年前に妻に先立たれ、一人暮らしでした。

 

生きている理由を失った高齢者が、自殺や破壊的犯罪を犯してしまった、ということなのかもしれません。

 

 

 

 心と体のバランスを失って… 

 

老人ホーム化する刑務所
老人ホーム化する刑務所

 

今回の男性は、「祭りがうるさいっ!」と以前から文句を言っていたようです。

仮に、このお祭りが昔から慣れ親しんできている賑やかな音であったなら、懐かしさや楽しさを覚え、心踊るものであったに違いありません。

 

しかしながら、新しく始まった理解できない祭りの音だったとしたらどうでしょう?

・新しいものに適応が難しくなった高齢者

・孤立・孤独な高齢者

 

同情する余地はありそうです。

 

 

人に限らず全ての生き物は、心身のバランスを失ったとき、自分を傷つけたり、他者に害を加えたりする傾向があります。例えば、「仕事を失ったとき」「家族を失ったとき」「ペットと死別したとき」など。

 

 

突然一人暮らしになってしまったこの高齢男性は、人間関係や生きがいを失い、コミュニケーションを失い、慣れない家事の負担が加わり、バランスを崩してしまったのかもしれません。

 

 

 

 独り暮らしのリスク 

怒りや恨みの感情でさえ、誰にもぶつけることができなくなってしまったとしたらどうでしょう?

おしゃべりや楽しい活動のない日々の暮らしを想像してみてください。

一人ぼっちで悶々と考え続けると、否定的な感情はますます高まります。

 

それまで何の問題も起こさなかった中高年の人が、突然ご近所トラブルを起こすケースも増えてきています。その中には、妄想を持つなどの精神疾患が絡んでいるとも言われています。

孤独…

孤立無縁…

生き甲斐ロス…

 

 

 

 高齢者犯罪防止のために 

当然、孤独なら犯罪を犯してよいわけではありません。しかし、孤独な高齢者が犯罪を犯しやすいのであれば、孤独を癒すことが防犯に繋がります。

高齢者の万引き防止のために、中高年の店員を雇う動きも始まっています。若いアルバイトでも、高齢者とコミュニケーションが取れる若者を採用する店もあります。

 

「声かけ」は、どんな犯罪の防止にもなるものですが、高齢者には特に効果的です。

社会は変わり、街は変わり、人間関係も変わっていきます。その中で、私たちは孤独な高齢者たちとどう向き合っていくべきなのか、是非、考えてみてもらいたいのです。

 


最終更新日:2017/11/29