大切な人を亡くした時、あなたは喪失感とどう向き合いますか?

親、配偶者、子ども、友人、ペット…

大切な存在を亡くしたとき、人はどうしようもないほどの悲しみを覚えます。心にぽっかりと大きな穴が空いてしまうほどの深い悲しみ。

こんなとき、あなたならどう向き合うだろうか?

 
 

 いとこのケース 

私のいとこAさんは数年前、母親を胆嚢がんで亡くしました。担当医は、「簡単ではありませんが手術できますよ」と断言したと言います。一抹の不安はあったものの、先生の言葉を信じ手術を受けることにしたのです。

Aさんの母親は、入院前は食欲もあり元気。退院して迎える初孫の七五三を心待ちにしていました。

 

手術が終わり、Aさんの母親は頻繁に喉の渇きを訴えていたそうです。翌日、病院から母危篤の知らせがあり、駆けつけると意識はなく…そしてわずか数時間後、Aさんの母親は静かに息を引き取っていったのです。

 

「容体が急変した」の一点張りの医師

納得がいかないAさん

 

しかし、A子さんも家族も、それ以上の説明は求めなかったのです。

 

「結局、どうしたって母は戻らない。」

 

 

 母親の死後 

A子さんは母を突然に亡くし、長く体調不良に苦しんでいました。気持ちは塞ぎ込み、誰にも会いたくない。

「医療ミスがあったんじゃないのか?」「あの時もっと追及すべきだったんじゃないのか?」「別の病院に行っていれば良かったのかも…」といろんな後悔の念が頭にこびりついて離れません。
 
子育てに追われる中で、体調も気持ちも少しずつ回復していきましたが、「母の死について語れるようになったのはつい最近のこと」だといいます。

 

大切な人を亡くした時、あなたは喪失感とどう向き合いますか?

 

 

 アルピニスト野口健さんのケース 

大切な存在は人だけではありません。アルピニストの野口健さんは、17年連れ添った愛猫ナナを亡くし、絶望的な喪失感を味わったといいます。

「子猫の頃、駅までついてきて、帰りは迎えに来た。忠犬ハチ公ならぬ忠猫ナナ姫でした」

 

結婚し、娘が生まれ、ナナは家族みんなにとって欠かせない大切な存在となっていたのです。しかし…

ナナの鼻腔にがんが見つかり、抗がん剤治療を行うなど最善を尽くしたのですが、約1年の闘病の末、安らかに眠っていったのです。

 

山に登ると悲しみに引き戻される。

夢にナナが現れる。

 

野口さんは、寝袋の中で何度となく涙を流したそうです。

 

「ヒマラヤに登ると目の前で仲間を失うこともあり、死のショックは経験してきたつもりだった。でも、ナナを失うことはまったく違った。胸にぽっかりと大きな穴が開いてしまった」

 

 

 ナナが残してくれたもの 

ナナの死から半年が経ち、ある日「里親募集」の新聞記事に目が留まりました。そこに掲載されていたのはナナにそっくりの茶トラの子猫。

運命的なものを感じた野口さんは、すぐに保護施設へ行き、同じ時期に保護された2匹の子猫とともに、計3匹を一緒に引き取ったのです。

 

元気に跳び回る3匹に目を細めながらも、ナナを思わない日はありません。ナナも捨て猫だったことから、野口さんは今後、動物の殺処分問題に取り組もうと考えているそうです。

 

「これは、ナナが僕に託した『宿題』なのかもしれません」

 

大切な人を亡くした時、あなたは喪失感とどう向き合いますか?

以上、2つのケースをみてきましたが、どのように感じられましたでしょうか?
 
私も父を亡くして3年、「もっとああしてやればよかった」「あの時こう言ってやればよかった」と今でも後悔の念が拭いきれません。
 
いとこのAさん同様、違う病院を選んでいればよかったのかも、と思うことだってあります。しかし、亡くなった故人はもう帰ってはこないのです。

 
 

 悲しみと上手に付き合う6カ条 

 

(1)悲しみも苦しみも「乗り越えるもの」ではないんだ。どんなに強い悲しみにさいなまれていても、焦ってはいけないんだ。悔やんではいけないんだ。

 

(2)故人のことも自分のこともよく知らない第三者に、自分の悲しみをぶちまけましょう。そうすれば、少しは気持ちが楽になる!

 

(3)故人に向けた悲しみや謝罪、怒り、そして感謝の気持ちをノートに書きなぐってみましょう。それに対して故人はどう答えてくれるだろうか、と想像してみましょう。

 

(4)たとえ悲しくて、少ししか食べられなくても、丁寧に噛み締めながら「食べる」という行為を体全体で受けとめて。

 

(5)辛い時、苦しい時には、友人・知人の当たり前の日常や言葉が心に厳しく突き刺さるもの。少しの間情報を遮断し、自分の時間をつくるよう意識してみましょう。

 

(6)大切な存在を亡くさなければ出会えなかった人、物事、考え方に思いを巡らし、何かしらの「良かったモノ」に集中してみましょう。

 
 

 終わりに 

あなたは「死=ゴール」と考えるかもしれません。しかし、実は、「死」から新たに亡くなった人との新しい関係が始まるのです。

大切な存在を亡くしたことで得たもの、「経験」「活動」「新たな出会い」…

 

愛する存在を失うことは、同時に何か大切なものを受け取るチャンスでもある。

 

私たちは、たとえ何年かけても、そう思えるよう生きていくしかないのではないでしょうか。

 

故人を悲しませないためにも…

 

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