育児と介護の「ダブルケア」現状と対策

 

ダブルケアとは、子育てと親の介護が同時期に発生する状態のことをいいます。子育てをする親として毎日精一杯な中、親の介護も娘としては放っておけない問題です。

少子化と高齢化の同時進行が続き、女性の晩婚化で出産年齢が高齢化し、親の介護と子育てを同時にしなければならない「ダブルケア」。。。

 

2016年の調べでは、「ダブルケア」をする人が全国で少なくとも25万人以上いることがわかりました (男女比は2:1です)。

子育てと介護が同時に来てしまった…

 

そんな時は、一人で悩まないでください!

 

まずは、現状の正しい認識から始めましょう!

 

 

 

ダブルケアの対処法は?

これまでは、仕事と子育ての両立、あるいは仕事と介護の両立が問題とされてきました。今後はさらに、子育て・介護・仕事の三つ巴な両立問題が増えてくるでしょう。

各家庭では立ち行かなくなり、現存の介護サービス、育児サービスはもとより、従来の子育て支援、高齢者介護政策も見直しを迫られることになるでしょう。

 
 

 
 

上図からもわかる通り、「ダブルケア」は年々増え続けているのです。ただ、「ダブルケア」は様々な問題をはらんでおり、明確な対処法があるわけではありません。公的な介護サービスや子育て支援サービス、そして、居住地域の包括支援センターなどに相談しながら、対処していく必要があります。

ダブルケアに直面していない方も、いざという時のために、事前に準備しておくことが重要です。

 

 

 

「ダブルケア」の事例

Aさん (38歳女性) には5歳と1歳の子供がいて、子育てをしながら一般企業で働いています。しかし、認知症の義父を介護していた義母が亡くなり、ダブルケアに直面します。

仕事は辞めざるを得ませんでした。それから、義父を自宅へ引き取って子育てと介護のダブルケア生活が始まったのです。

 

起床時間は朝6時。夜ベッドに入ることができるのは午前1時頃。ただ、下の子の夜泣きなどもあり、実際にはかなりの睡眠不足です。

起きている間にも突発的な問題が多々あり、仕事の忙しい夫にも誰にも相談できず、一人で悩み、精神的にかなり追い込まれていきました。

 

 

子育てと介護に休日はありません。

これが毎日続くことで、肉体的にも精神的にも負担が大きいのです!これがダブルケアの大きな問題なのです!

 

 

 

あらためて、対処法を考えよう!

残念ながら、現状、子育てと介護の両立を支える仕組みはありません。

 

それでも、

 

  • ダブルケアは確実に増加傾向!
  • 当事者を支援する制度は未整備状態!

 

なのです。

 

そして、担い手は圧倒的に女性!彼女たちが負担で潰れないために、家族のサポートは不可欠なのです!!!

 

ダブルケア問題は、「精神」「体力」「経済」の3つの負担が当事者を苦しめますが、中でも一番負担なのは「精神」面です。ママ友に子育ての相談はできても、介護の相談はできません。悩みを抱えたまま、孤立感を深めてしまうケースが少なくないのです。

 

 

このような中、ダブルケア当事者に対する独自の支援を行う目的で設立された団体が少しずつではありますが活動を開始し始めました。

当事者が集まり、抱えている悩みを打ち明け合う座談会を開催し、互いに共感し、励まし合う共有の場を提供しているのです。このようなダブルケア当事者への支援の輪が、徐々に広がりつつあります。

(座談会に参加する時間すらない、という方のために、SNSや掲示板で繋がり、悩みを相談し合う動きも始まっています)

 

 

 

経済的な負担も…

両親の預貯金をあてにできる場合であれば問題ないのですが、実際には子育てで養育費がかさむ時期に親の介護費用も負担せざるを得ない場合もあります。

在宅介護の場合でも、要介護5なら年間100万円以上は必要とされており、子育て世帯がこれを追加負担することはかなり難しいと言わざるを得ません。

 

子供1人を小中高大と全て国公立で通わせたとしても約1,000万円かかると言われていますが、私立となればその倍以上が見込まれ、子供の進学を制限しなければならない深刻なケースも今後増えていくと考えられています。

 

 

 

事前に、ライフプランナーに相談してみましょう

ダブルケアは、「精神的」「肉体的」な負担に加え、経済的な負担も大きくなります。まずは、「自分が直面する」ことを前提として、事前に家族で話し合っておくことが対策の第一歩です。

家族でよく話し合った後は、プロのライフプランナーにも是非相談してみましょう。ライフプランナーに相談すると、次のことが明確になります。

 

  1. 数年後にどういうことが起こるかのシミレーション
  2. 家族間の介護負担割合
  3. 貯蓄や保険の準備
  4. 介護に関する割引制度
  5. 支援団体などに関する情報
  6. 個々に特化した問題に対応できる専門家の紹介

 

 

 

ダブルケアは3割が直面する見逃せない問題です
 

 
 
「私は母子家庭で子供が一人います。母と3人で同居していましたが、数年前から母が認知症を患い、現在、要介護4まで進んでしまいました。」

「ケアマネはいつも、お母様を優先に考えて、といい、私たちの生活はどうなるんだろうと心が折れそうになります。」

 

「私は仕事をしながら2人の子育てと義母の認知症介護をしています。義母も大事ですが、今は子供たちの成長過程で大切な時期です。」

「子供たちを中心に生活がしたいです。このままだと私たちが倒れてしまいます。」

 

 

 

 

おわりに

将来的には、保育施設・介護施設・障害者施設が統合され、一つにまとめて運営できるよう規制緩和されていくことでしょう。そうなれば、ダブルケア問題も少しは緩和されてくるはずです。

ただ、現状はまだそうなってはいません。

 

「母が90歳まで生きたら私は62歳…」

「そこまで介護が続くのかなぁ…」

 

様々な不安が尽きません。

 

ただ、「ダブルケア」も悪いことばかりではありません。

 

Bさん (50代女性) は十数年間、子育てをしながら母の介護と向き合ってきました。母は歩けなくなり、やがて寝たきりの生活を送ることに。介護が始まった当初、子供たちは幼稚園児と小学生。

子供たちはBさんの心の拠り所になっただけでなく、母のおむつの交換や体位交換なども手伝ってくれました。皆介護に懸命だったからか、子供たちには反抗期がなく、家族の絆はより深くなったようです。

 

 

とはいえ、

毎日必死でしんどいという自覚のないまま無理を続けてはいけません。

 

「夜眠れない…」

「体がしんどい…」

「誰にも相談できない…

「笑うことがなくなってしまったなぁ…」

 

そうならないためにも、常に誰かに相談し、けっして全てを一人で抱え込まないようにしましょう!介護・子育て・自分がやりたいこと。全てに全力投球することも、一つに専念することもできないので、その時々の状況を考えて、バランスをとることが大切です。

子育ても介護も、する側される側皆さんが幸せでありますように!

 

 

 


最終更新日:2017/11/30