徘徊認知症高齢者は地域全体で見守ろう!

認知症になると、家の中や外を歩き回る行動が見られます。これを徘徊といい、事故に繋がるリスクが高いため大きな社会問題となっています。

しかし、目的もなく歩き回っているわけではありません。理由があるのです。介護者は、その理由 (原因) を見つける努力をする必要があります。

 

例えば、「どうしたの?」と声をかけると「今から会社に行くんだ」とか「買い物に行くの」といった返事が返ってきたりします。

その時は、「今晩の夕食のメニューはどうしましょうかねー」などと話しかけ、座ってゆっくりすれば落ち着きます。

 

まず、高齢者が落ち着いて過ごせるように安心感を与え、自宅でも、施設でも、役割を見つけてあげることが大事なのです。

 

 

今回は、そんな高齢者の徘徊問題について一つの事例を見ていき、どう支えていったらいいのかを考えてみたいと思います。

 

 

 

若年性認知症と診断されたAさんのケース

Aさん(60代男性) は50代前半で若年性認知症と診断されました。日付がわからなくなったり、怒りっぽくなったり、置き忘れや物忘れが頻繁にあったり…。兆候はいくつもありました。

そして2016年春、ついに徘徊が始まったのです。

 

Aさんは仕事中、職場からフラッと抜け出し、デパートの中を徘徊していたのです。不思議に思った店員に保護された際、「妻と買い物をしていてはぐれてしまった」と言ったといいます。

その後徘徊はエスカレート。

 

周囲の人たちからは

「どうして家に閉じ込めておかなかったんだ!」

と心ない言葉を浴びせらる妻。

 

しかし妻には仕事があります。四六時中見守ることはできません。と同時に、

「夫が夫でなくなっていくようで辛い…」

妻は心も体も疲れ切ってしまいます。

 

 

 

GPSを使った徘徊対策は非効率で不経済

高齢化の進展に伴い、認知症高齢者の徘徊は社会問題化しています。行方がわからなくなった末に事件や事故に巻き込まれるケースも増えてきています。

このような徘徊への対策として、GPSで位置情報を知らせる携帯型通信端末が有効とされていますが、それでも、家族の負担は小さくありません。

 

Aさんの妻は自治体から有料で端末を借り、夫に気づかれないよう身に着けさせます。しかし、失踪するたびに捜索費は別途かかります。1時間1万円。加えて、発見場所からのタクシー代。

結局、「徘徊失踪のたびにこれだけの費用がかかるのはあまりにも負担だ」と、端末の利用をやめることにしたのです。

 

 

2016年秋、Aさんは特別養護老人ホームに入所。

「独りでの見守りには限界がある…」

妻はそう漏らします。

 

 

 

 

地域ぐるみの徘徊高齢者対策

徘徊認知症高齢者は地域全体で見守ろう!

筆者の暮らす自治体では、認知症の行方不明者が出た場合、協力事業所にメールで情報提供される仕組みになっています。国は各自治体にこの仕組みを促してはいるものの、全国での導入率はまだ1/3ほど。。。

市民がこのサービスを利用するには、認知症高齢者の顔写真と身体的特徴などを事前に登録する必要があります。ただ、「家族に認知症高齢者がいることを知られたくない」人も多く、利用は伸び悩んでいるのが現実です。

 

こうした中、

地域で認知症高齢者を見守ろうとする動きも出てきています。地域包括支援センターが中心となり、警察や病院、高齢者福祉施設、自治会などを交えて「地域ケア個別会議」を実施。

 

実はこの会議、Aさんの妻から相談されたケアマネジャーさんが立ち上がり、動き出したものです。個別会議では、徘徊者本人も出席し、どうやって徘徊を防ぐかを皆で話し合っていきます。

他にも、地域住民を対象に、徘徊に関する勉強会を開いたり、福祉の専門家が地元商店に出向き、協力を求めたりしています。

 

 

 

最後に

認知症をもつ高齢者の行方不明者は年間1万人以上と言われています。

 

高齢者の介護、特に徘徊を伴う認知症高齢者の対応は一人では到底出来ません。そこで、日本国民皆さんに、地域で支え合っていく意識を持っていただきたいのです。

まず、声をかけても脇目も振らずに歩き続けたり、オドオドした表情をしているのが徘徊高齢者の特徴だということを覚えておいてください。

 

そして、もしあなたが徘徊高齢者を見つけた場合には、笑顔で話しかけ、警察や包括支援センターに連絡してあげてください。

地域全体で見守る態勢が機能している地域では、徘徊高齢者が随分落ち着いてきていると報告されています。

 

地域で見守る!

 

日本中で、そして世界中で、

この仕組みが根付くといいですね!

 

 

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