非定型 (新型) うつ病の特徴・症状と対処法

 
ここ数年、20〜30代の女性に増えている新しい心の病気に「パニック障害」「社会不安障害」「境界性人格障害」、そして「非定型うつ病」があります。

これらの心の病気は認められてからまだ日が浅く、専門家の間でも十分に理解されているものではありません。

 

憂鬱…

過食…

眠い…

体が重い…

 

世界保健機関(WHO)が発表した最新の「世界のうつ病患者数」は……全人口の約4%に当たる推計3億2,200万人にのぼっています。日本では、うつ病の有病率6.5%、15人に1人が生涯に1度はうつ病にかかる可能性があるとされています。

患者数は2008年に初めて100万人を突破し、今なお増え続けている状態です。

 

そして「典型的なうつ病とは異なる」という意味から「非定型うつ病」と呼ばれる新型のうつ病が近年急増しており、すでに、全うつ病患者の30~40%を占めているという報告まであります。

一般的にうつ病は女性に多いのですが、「非定型うつ病」はさらに多く、6~7割が女性です。中でも、20〜30代の若い女性に多く見られるうつ病なのです。

 

 

 

「非定型うつ」の特徴・症状
 

 

「非定型うつ」の最大の特徴は「気分反応性」です。これは、気分の変動が激しく、楽しいこと・好きなことに対しては元気が出て快活になれるのですが長続きはしません。一方で、通常は定型うつ病と同じく沈んだ状態になります。

ただ、「楽しい事や嬉しい事があると気分が改善する」というのが気分反応性です。こうした気分の浮き沈みが繰り返されるのが「非定型うつ」の最大の特徴とも言えるでしょう。

 

 

それでは、その他の特徴・症状についてもみていきましょう。

 

 

 

① 他者の言葉を極端に悪く受け止める

 
「今日は頑張っているね」という良い意味での声かけに対しても、「いつもは頑張っていないと思われているのか」ととらえてしまったりするのです。

こうした、他人からの侮辱・軽視・批判に対して極度に敏感になる「拒絶過敏性」も「非定型うつ」の症状の1つです。相手は全くそんなつもりはないのに、「批判された」「見下された」「軽蔑された」と否定的に受け止めてしまう傾向が強いのです。

 

 
 

② 食欲増加、体重増加

「非定型うつ病」になると、ほとんどの人が甘いものへの欲求が強くなります。糖分には、抑うつ感を和らげる作用があるといわれているからでしょうか。自然と体が欲し、甘いものを次から次へと食べてしまうのです。

しかし、甘いものの効果は一時的なもので、食べ過ぎによって体重の増加を招きます。過食症のような無茶食い行動とその後の自己嘔吐が週に何回も見られることもあリマス。

1日に何回も間食するようなこともあります。女性患者が多いので、太ったことで自己嫌悪に陥り、また気分が落ち込むという悪循環に陥ることもあります。

 

 
 

③ 過眠に苦しむ

定型うつ病の「不眠」と真逆で、「非定型うつ病」では過眠(10時間以上眠る日が週に3日以上)があります。とはいえ、「よく眠れる」というよりも「眠り過ぎ」障害に苦しめられます。長時間寝ているにも関わらず、起床時・日中も眠気が続きやすいのです。

「非定型うつ病」の場合、他者から非難されたと思い込むと気分が落ち込み、併せて眠気が強まります。また「神経性疲労」で体が鉛のように重く感じてしまうので、起きていられず寝るのです。

よく眠れば気分も落ち着くかというと、そうではありません。熟睡は出来ないので、昼間も眠くて仕方なく、目覚めてもやる気が起きません。そして昼間も寝てしまう傾向があります。睡眠のリズムが崩れ、学校や職場を休みがちになり、日常生活にも支障をきたします。

 

 

 

対処法
優しい言葉でやんわりと励ましてあげましょう☆

 

 

「非定型うつ病」は抗うつ薬が効きにくいという特徴がありますので、治療では医師や臨床心理士によるカウンセリングなどの精神療法をうまく組み合わせます。

そしてもう一つ、「非定型うつ病」の場合は、適度な負荷があった方が回復の一助となることが経験的に知られています。

通常は優しい言葉でやんわりと励ましつつ、時には叱咤激励も必要なのです。ただし、厳しい言葉は禁物です!不安や焦燥感が強いと感じたら、しっかりと優しく見守ってあげることも大切です。

 


最終更新日:2017/12/01