知的障害の原因と妊娠時の注意点を正しく知ろう

 

知的障害とは、具体的にはどういった状態のことをいうのでしょうか?その原因は?治せるの?改善できるの?…

知らない方も少なくないでしょうね。医学的にまだまだ未知の部分 (謎) が多く、解明されていない点も多々あるので、それは仕方のないことです。

 

ただ、特に妊娠中の方はある程度のことは知っておいたほうが良いかもしれません。知的障害のリスクを減らすためにも、ぜひ最後まで読んでいただけたらと思います。

 

 

 

 

知的障害の原因


 
以前は「精神薄弱」と言われていましたが、「精神」という言葉が人格を含むうえ、精神障害と混合されやすいため、「知的障害」という用語が使われるようになりました。

 

染色体異常などの様々な原因があり、治療法も未だ確立はされていません。

そんな知的障害の原因は大きく分けて以下の3つになります。

 

 

 

① 生理的要因


 

IQの平均を100とし、IQ70以下を知的障害とするならば、人口の2.27%がこれに相当することになります。

 
これは病的とは言えない遺伝子の組み合わせでできたもので、たまたま知能が低いほうに偏ったものとみることができます。この分類に該当する知的障害者は、脳の器質的障害を伴うわけではないので、医療の対象になることはありません。
 
これらの子供たちは普通学級か障害児学級に所属するわけですが、普通学級に在籍している場合、通常の授業についていけないこともあるため、補てん学習を含めて個別に手厚い配慮が必要となります。将来的に社会で自立していける力を育てていくことも大切です。

 

 

 

② 病理的要因

 

 
病理的要因による知的障害には、「病的遺伝子によるもの」「染色体異常によるもの」「胎生期異常によるもの」「周生期異常によるもの」「先天性のもの」などが含まれます。

その中の先天性代謝異常の1つであるフェニルケトン尿症では、重い知的障害、けいれん、脳波異常があり、やがて中枢神経症状やメラニン色素欠乏症状、尿様体臭、皮膚症状なども表れてきます。

しかし近年、フェニルケトン尿症は早期に診断できるようになりました。低フェニルアラニン食を与えることによって発症を予防することができるのです。

 

 

 

③ 心理・社会的要因

 

 
教育環境の不備不適も知的障害の原因の一つになり得ます。もちろん、この事のみで知的障害が起こるわけではありませんが、①生理的要因や②病理的要因で起こった知的障害が、心理・社会的要因によって相乗的に影響を受けることは十分に考えられるのです。

特に、保護者の育児放棄などが知的障害の症状を強める可能性もあるため、児童相談所などが相互に連携し、しかるべき施設に保護してもらうなど、子供にとって最善の策が考慮されなければなりません。

 


 

ここで少し見方を変えて考えてみましょう。妊婦のライフスタイル、妊娠前・妊娠中の過ごし方が「知的障害」に深く関係しているかもしれないということを…

 

 

 

 

妊娠前~妊娠中の原因について


 
染色体異常による知的障害の場合は、身体奇形を伴うことが多く、出産直後に判明することも少なくありません。身体の発達に異常がない場合には、発達過程で少しずつ明らかになっていくことが多く、言葉の遅れ、遊びの不得手、不器用さなどから判明してきます。

やがては知能の遅れだけでなく、社会生活への適応にも難がみられてくるでしょう。

 

計算や読み書きなどの発達が水準以下だったり、逆に、部分的にずば抜けた能力を発揮する場合もあります。

学校教育の方法や社会保障をどのように提供するのかは、行政援助と関連して 「軽度、中度、重度、最重度」と4段階に分類されています。

 

 

 

◉ 親からの遺伝の場合もあるの?

 
近年の研究によれば、重度の知的障害者の半数以上は突然変異による遺伝子の欠陥によるもの…でした。つまり、半数以上は「知的障害に関係する欠陥遺伝子」を親が持っていないということがわかったのです。

このことから、親からの遺伝を完全に否定することはできませんが、少なくとも、多くの場合は「無秩序に起こる遺伝子の突然変異」が原因であると考えられています。
 

 

◉ 母体の栄養不足は胎児に危険?

妊娠中の母体が栄養不足になれば、生まれてくる子供が知的障害になる確率は高くなります。知的障害だけでなく、他の障害が出てくる可能性もあります。

そうならないためにも、妊娠中の食事はバランス良く、いつも以上にカロリー多めに食べてください。とはいえ、体重の増えすぎには注意が必要です。

 

 

◉ 母体の感染症は胎児に影響する!

胎児期の母体による感染症でも知的障害のリスクは高くなります。例えば、風疹、梅毒、結核、トキソプラズマなどです。

風疹はよく聞くかと思いますが、別名を「三日ばしか」と言い、妊娠12週未満で母体が感染してしまうと、80% ~90%の確率で胎児に感染してしまいます。

 

 

◉ 妊娠中のアルコール & タバコは胎児への悪影響あり!
 
 
妊娠中に飲酒・喫煙をすると胎児にどういった影響があるのでしょうか?

恐ろしいことですが、妊娠中に飲んだアルコールは直接赤ちゃんに影響します。そして、あまりにも飲み過ぎてしまうと発育障害、低体重、知的障害などの胎児異常が起こる可能性があります。

喫煙の場合、1日16本以上の喫煙は喫煙していない人と比べて低体重児、早産が5倍高くなるというデータもあります。ニコチン自体も胎児には良い影響を与えません。

 

 

◉ 服薬も知的障害児の原因に?
 
 
一般的に薬の多くは胎児に悪影響を及ぼす危険があります。どうしても…という場合以外は服用すべきではありません。母体と胎児の健康のために、薬がどうしても必要不可欠な場合は、医師に相談したほうが良いでしょう。

やはり、胎児に直接影響が及んでしまう服薬は、知的障害や発達障害などの原因にもなり得ますし、最悪の場合、死亡の原因になることもあります。

 

 

◉ 妊娠高血圧症候群

 

20人に1人の割合で発症する妊娠高血圧症候群も、胎児へ悪影響を与えてしまいます。具体的には、胎盤からうまく栄養が渡らない、通常よりも体重が少ない赤ちゃんが生まれる、おなかの中で赤ちゃんが亡くなってしまう、知的障害などの子供が生まれてしまうといったリスクが高くなってきます。

そうならないためにも、栄養バランスを考えた食事を摂りましょう!

 

 

◉ 多胎妊娠の場合リスクが高くなる?

 
多胎妊娠の場合、母体での子宮生育環境は単胎児妊娠よりも狭い空間になります。栄養面や発育面でも制約されることが多くなってきます。そのため、出生体重が低めになってしまう可能性はあります。

また、多胎児妊娠の場合、妊娠高血圧症候群のリスクが高くなり、胎児の栄養の面を考えるとどうしても知的障害の可能性も増えてきます。鉄分の多い食品を多く摂り入れましょう。

 

 

 

 

まとめ ☆

現在、知的障害のある子供の約1割に、統合失調症の治療薬である抗精神病薬が処方されています。知的障害には、自傷行為や暴力などの行為障害を伴う場合があり、薬はその治療のためとされているのです。

しかしながら、薬なので長期間の使用には当然副作用のリスクも伴います。長期・多剤の使用は、体重増加などの副作用が増すとも言われています。この点ご注意ください。

 

そして、知的障害があると一般的な職場への就労はハードルが高く、障害者雇用枠での就労が多いようです。この点もよく理解しておきましょう。

 

 

最後に、

少し勇気を与えてくれる言葉を添えておきますね。

 

つらい事が多いのは感謝を知らないから。

苦しい事が多いのは自分に甘えがあるから。

悲しい事が多いのは自分のことしかわからないから。

心配する事が多いのはいまを懸命に生きていないから。

 

 

 


最終更新日:2017/12/01