ADHDって完治するの?診断・サポート・治療法まとめ

 

前に進むには書くしかなかった。成人後に初めて「発達障害」と診断され、物心ついて以来の「敵」の正体は「これだっ!」と確信が持てた。だが、闘いは終わったわけではない。これまでの苦悩を吐き出し、ヘタレ込みそうになる自分に喝を入れなければ。

知的な遅れのないタイプの発達障害を持つ私は、それでも、人の気持ちや場の雰囲気を読み取るのが苦手だ。周囲の無理解も重なり、自傷行為を繰り返し…

 

大人になってから、ADHDが疑われるときは何科を受診すればいいんだ?致命的なほどに大きな対人スキルの弱点をどう克服していけば?「普通じゃない脳」を武器に何ができるというのか?

当たり障りのない「普通」を求め、苦悩はまだまだ続くのだ。幻聴の存在もある。孤独を慰め、ときに人の温かみを教えてくれた幻聴。死の誘惑に打ち勝てたのも幻聴のおかげだ。

 

当時は気がつかなかった身近な人の愛情や苦悩に思いを馳せながら、今さらながら込み上げてくる「感謝」の念を胸に、「自分はやっぱりADHDなんだ」と変な確信を持って医療機関を受診した際、診断はどう行われたのか?

そんな大人のADHDの診断法から治療方法までをまとめてお伝えしたいと思います。

 
 
 

ADHDを疑ったら精神神経科を受診しよう

ADHDは生まれながらの発達障害のひとつです。うつ病や統合失調症といった精神障害とは違いますが、精神科あるいは精神神経科、心療内科などを受診する必要があります。

ADHDは他の病気と間違いやすく、また合併障害も多いため、できるだけ大人のADHDの症例を多く診てきた専門医を探すとよいでしょう。

 

 

受診時には、自分の日頃の行動や様子を具体的に記録したメモを持参すると良いでしょう。子供の頃にADHDが見つからなかった場合も、なにかしらの兆候はあったはずです。そのため、小さい頃の様子がわかる通知表などの資料を用意したり、親に自分の子供の頃の様子を聞いておくのも参考になります。

 

 

 

 

ADHD診断までの流れ

診療では、まず問診が行われます。現在の職場や家庭での様子、問題点や悩みのほか、これまでにかかった病気などの既往歴や子供の頃の様子など。ADHDの診断基準には米国精神医学会の「精神疾患の診断とマニュアル(DSM)」がよく使われ、これは子供も大人も共通のものです。

2000年の改定版「DSM-Ⅳ-TR」では、不注意または多動・衝動性の症状が規定の項目数以上当てはまり、これが、家庭と職場など2か所以上において6か月以上継続し、症状のいくつかは7歳以前にあったなどの基準が設けられています。

 

以上のような診療の結果、ADHDが疑われる場合には (必要に応じて) 身体検査や脳波、頭部MRIなどを行ってほかの病気や障害の可能性がないかを調べ、総合的に慎重に診断が行われます。

子供時代はADHDだと知らずに過ごしてきたけれど、大人になって複雑な社会的活動に適応できずに悩んでいる「隠れADHD」が近年増えてきていると言われています。周囲からの評価が低いだけでなく、自己評価も低く、落ちこむことも多くなり、うつ病などの二次障害にも繋がっています。

 

 

 

周囲のサポートを受けるためにもADHDの診断は大切

ADHDと診断され、それが自分の特性であると認められると次第に心の痛みも緩和されます。さらに、適切な治療を受けながら生活の仕方を見直すことで、困難な状況も少しずつ改善することが期待できます。

仕事が遅かったり、ミスが多かったりするのは、本人のやる気の問題ではなくADHDの症状が関係していることを周囲に理解してもらうだけでも気持ちはずいぶん楽になります。

 

 

さらに、スケジュール管理を手伝ってもらったり、書類の二重チェックをしてもらうなど、周囲からサポートを受けることで仕事での失敗も少なくなります。

このようなサポートを受けるためにもADHDの診断は大切です。けっしてひとりで悩身を抱え込まず、できるだけ早めに医療機関を受診して、正しく診断してもらいましょう。

 

 
 
 

ADHDは完治するの?

ADHDは注意欠如多動性障害とも呼ばれる発達障害のひとつです。生まれ持ったその人の特性とも言えます。そのため、治療しても根本的に治る…というものではありません。

ただ、医療機関で正しい診断を受け適切な治療を行えば、つらい状況は徐々に改善され、落ち着いた毎日を過ごせるようになることは可能です。

 

すでにご存知のこととは思いますが、ADHDは不注意・多動性・衝動性といった症状から、職場や家庭において様々な困難が起こります。いろんなことを上手くできないため、自分を責めたり、落ち込んだりすることも度々です。

このような状況が長く続くことで、うつ病や双極性障害といった二次的な障害が起こることもあります。状況はどんどん悪化していきかねないのです。

 

そういった現実の中、ADHDの治療の目的は「人との関わりを含めた環境の整備や、薬による症状の緩和などによってADHDの症状の影響を少なくすること」です。

困難な状況を少しでも改善し、悪循環を断ち切り、ADHDと上手く付き合っていけるようにすることが治療の目標となるのです。

 

 

 

 

大人のADHDの (具体的な) 治療方法

 

 

 

① 心理・社会的療法

まず行うのが「環境調整」です。これは、本人が自分の特性を理解し、困難の少ない暮らし方や生活環境・人間関係を見直すことなどを含みます。

 

例えば、

・「よく考えてから話すようにしましょう」

・「気が散る原因を極力排除しましょう」

・「安請け合いはせず、周囲に相談してから返事をしましょう」

 

といったことを確認していきます。

 

自分で努力・工夫していけることもあれば、周囲の協力が必要な場合もあるでしょう。「指示はできるだけ短く簡潔に出してもらう」「スケジュールは人目につく場所に貼る」「期日が近付いたらひと声かけてもらう」「困った時は家族や友人に頼る」など、周囲の協力を得ながら実践し、職場や家庭の環境を改善していきます。

ほかにも、社会のマナーやルールを守り、対人関係を良好にするためのスキルを習得する「ソーシャルスキル・トレーニング」や、ものの考え方や受け取り方などを見直して適切な行動につなげる「認知行動療法」なども行われます。

 

 

② 薬物療法

ADHDの原因は未だ解明されていませんが、脳内の神経伝達物質「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」が不足することで症状が起こると言われています。そこで、薬物療法では、神経伝達物質を活性化させるメチルフェニデートやアトモキセチンという薬が使用されます。どちらも、服用している間はADHDの主症状を抑える効果があります。

 

 

 

 

治療をするうえで重要なこと

治療の効果はすぐには現れませんが、自分だけでなく、周囲の人にもADHDの症状についてきちんと理解してもらい、適切に対処することで少しずつできることを増やしていくことが大事です。そうすることで自信へと繋がり、気持ちが軽くなっていくことでしょう。

治療をするうえでは、けっして焦らず、ゆっくりと成功体験を積み重ねていくことが大切になります。何より、本人の努力や工夫とともに、周囲のサポートがとても重要なのです。

 

全ての人が誠実な態度で他者と向き合い、協力しあっていく社会が求められます

 
 

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