投資信託の売り時は?買うより難しいそのタイミングとは…

 

投資信託の営業マンや運用会社、販売会社などは、「いかにこの商品が良いのか」と買ってもらうために様々な優位性を熱く語りますが、「今が売り時ですよ!」とはけっして教えてはくれません。

買う時には (聞けば) あれこれ話してくれますが、売る時期については自分で判断するしかないのです。誰も助言などしてくれませんし、その判断材料は不足しているので案外難しかったりするのです。

 

そこでここでは、「投資信託の売り時」について考えてみたちと思います。

 

 
 

 

 

投資信託の販売者心理を知っておこう!

多くの個人投資家たちは、(自身が持つ投資信託商品を) 売る際にはなかなか判断材料がなく、結果として、教育費や自動車購入資金が入用になったなど、“投資環境とは異なる理由” で換金売りを行うことが少なくないのではないでしょうか。

ただ、実際のところ、売り時の判断はプロでも難しいものなのです。加えて、一般の個人投資家たちは、必ずしも中立的とは言えない情報を元に判断しなければならないのです。

 

ちなみに、

販売会社は「販売手数料」と「代行報酬」で収益を上げるわけなので、顧客資産の回転を上げて販売手数料を手にする「乗り換えセールス」に走る傾向にあります。

 

すなわち、あなたの保有しているファンドを「下がりそうだから今売リましょう」「今は待ちのタイミングだから現金で持っていた方がいいですよ」などと親切に勧めてくれる販売員は少なく、

むしろ「下がりそうだから今売リましょう」「売って(今、キャンペーン中の)別のファンドにした方がいいですよ」ということになるわけです。

 

運用会社はさらにその傾向 (できるだけ長く保有してもらいたい) があります。

ゆえに、販売会社・運用会社が「売り時」を助言するのは、必ずしもマーケット的に (あるいはあなたのおサイフ的に) 良いタイミングとは限らない…ということを肝に銘じておくべきです。

 

 

 
 

 

投資信託の「売り時」判断は難しいものです

そんなわけで、彼らがわざわざ “預かり運用資産” を減らすことになってしまう、「売った方がいいですよ」なんてことは勧めたりしないのです。

では、「買ったはいいが売り時がわからない」とおっしゃる投資家さんたちは、「売り時」の判断基準をどう持ったらよいでしょうか?

 

 

実は、中立的な助言不足があるため、買う時よりも売る時の方が難しいのは間違いありません。

ただ、(投資の目的や懐具合、マーケット知識には個人差があるので唯一無二の正解はないのですが) 以下の手法が参考になればと思います。

 

 
 

 

 

 

自分で判断する場合

 
 
① 買った理由は何だったかを振り返ってみよう!
 
買った時には、例えば2〜3年後に少しばかり儲けているであろうことを想定していたのではないでしょうか?そうであれば、「想定したストーリーが実現して価格にも反映された」のであれば、投資期間が予定通り経過してそろそろ潮時…ということになるでしょう。

逆に、(円高などの) 想定外のネガティヴ要素に悩まされている場合であっても、損切りをして今が売るタイミングなのかもしれません。人生設計と照らし合わせながらよ〜く考えてみましょう。

 

 


 

② 「より儲かる」と思える資産が他に見つかった場合
 
いろいろと考えてみて、今持っている金融商品よりも別のものの方が利益が出るに違いない、と思うのであれば、売って新たなものを購入し直してみても良いのではないでしょうか。

 

 

 


 

③ 運用会社の月報コメントをヒントにしよう!
 
運用会社の月報などを見ていると、絶対に「売るべし」といった内容のコメントは書かれませんが、次のようなコメントがあれば (彼らは) 「しばらく上がることはないだろう」と見ているというヒントになります。

 

  • 「中長期的には相場が回復」
  • 「現状売られ過ぎで見直しが入る局面もありうる」

 

 


 

④ いわゆる「塩漬け」ファンドで、たとえば投資時より20%も下がってしまったが、「長期保有して損が出ないレベルにまで戻れば売却する」と決めているケースはどうすればいい?
 
こういう場合、冷静に考えると払った手数料や下落は “埋没費用” となります。よ〜く考えてみてください。今一度、フレッシュな眼で新規投資として考え直してみて、そのファンドが20%以上上がると思えますか?

もしそう思えるのであれば  (そのまま) 持っていた方が良いのでしょうが、多くの場合、他の投資と並べてみて「確信」が持てなければそれが「売り時」です。
 

 

 

 

 

まとめ

「利食い」と「ロスカット」のルールを事前に決めておくという方法もあります。つまり、相場の状況に応じてその都度判断するのではなく、買値の+20%で売却、-10%で売却といった基準価額水準で機械的に判断するのです。

「タラレバ」の後悔をしがちな人にはこの方法がオススメです。

 

投資をする時はバラ色の妄想が膨らむものですが、「投資期間」や「期待収益」「ロスカットポイント」などを事前にきちんと想定されている方は少ないのではないでしょうか。

儲かっている際の手仕舞いも、損切りも、心理的には「果たして今がいいのか」と迷うのが人間の性です。上記のヒントを参考にして思い切った決断を下していただくと、少なくとも考え方に一本筋が通り、(運用成果ははともかく) 後悔は減るのではないでしょうか。

 

 


最終更新日:2017/12/03