胃痛で疑うべき病気とその予防法
食べ過ぎ、ストレス…
胃の痛み自体は、それほど珍しいものではありません。しかし、突然激しい痛みに襲われたり、慢性的に痛みが出ている場合には注意が必要です。
何らかの、病気のサインかもしれません。
皆さんもご存知の通り、胃の役割は食物を消化することです。胃の粘膜からは、食べ物を消化する働きのある胃液が分泌されています。
強い酸性を持ち、大多数の細菌は胃の中で殺菌されます。しかし、自身の胃壁は消化されません。それは、胃粘液が粘膜の上に薄い粘液の層を作り、胃液から自身を守ってくれるから。
じゃあどうして胃痛が起こるの?
原因は何?
胃の痛みの原因には、大きく分けて以下の二種類があります。
- 食べ過ぎ:食べ過ぎてしまうと胃が膨らみ、お腹が突っ張ることで痛みを感じてしまうのです
- 胃に異常が起きている:何らかの原因によって、焼けるように痛む・ものを食べると痛む、といった短時間の痛みが生じます
食べ過ぎて胃が痛む、であればよいのですが、病気 (何らかの異常) が関係している場合もありますので注意が必要です。
当然、胃の痛みを引き起こす病気はいくつもあります。今回は、その中でも特に顕著な病気について紹介しておきます。
是非参考になさってください。
下記の病気が疑われる場合には、一般内科・消化器科・胃腸科・かかりつけ医へ受診されることを強くオススメします。
① 消化性潰瘍
消化性潰瘍(胃潰瘍,十二指腸潰瘍,急性胃粘膜病変,NSAIDs潰瘍など)…
胃や十二指腸の粘膜が、胃液によって傷つけられた状態をいいます。
症状としては、胃の痛み・胸やけ・げっぷ・胃のむかつき・黒い便・吐血・空腹時のみぞおちの痛みなど。個人差があり、症状が出ない場合もあるので要注意です!
原因は、ピロリ菌・薬の副作用・胃酸の過分泌など。
病院で、胃カメラや胃透視(バリウム検査)で検査をしてもらってください。
② 胃炎
胃炎には、急性胃炎と神経性胃炎の2種類があります。
■急性胃炎
日常的に一番起こりやすい胃のトラブルです。胃粘膜に、突然炎症が起こった状態のこと。
症状は、胃の痛みや不快感・むかつき・おう吐・食欲低下・吐血など。その多くは、安静にして食事に気を付けていれば2~3日で治ります。
原因は、ウイルスへの感染・食中毒・刺激の強い食べ物の摂りすぎ・暴飲暴食・アルコールの摂りすぎ・薬の副作用・アレルギー・ストレス、と多々あります。
病院では、血液検査や超音波・内視鏡検査が行われます。
■神経性胃炎
精神的な不安や苦痛、ストレス、寝不足、仕事による疲れが原因で引き起こされます。
症状は激しい胃痛・吐き気・全身倦怠感・食欲不振・体重減少・胃もたれ・げっぷなどです。これに加えて、心身症の症状(ふらつき・不眠・不安・抑うつなど)もみられます。
血尿、内視鏡、腹部超音波、便に血が混じっていないかという検査をした後、内科や精神科医の問診で判断されます。
③ 胃アトニー
胃下垂(胃が垂れ下がっている状態)が原因で、胃の働きが弱っている状態のことをいいます。
症状としては胃痛・胃もたれ・げっぷ・むかつき・食欲不振・精神疲労・胃が張ったような痛み・すぐ満腹になってしまう、など。
病院では、バリウム検査で判断されます。
※ 食後、体の右側を下にして横になると症状が軽くなる特徴があります
④ 胃アニサキス症
これは、アニサキスという虫が寄生している魚介類を生のまま食べることで起こる病気です。症状は、魚を食べた数時間後に起こる激しい胃の痛み・おう吐。
主な感染原因は、サバ・アジ・イワシ・イカ・サンマなどです。
⑤ 胃粘膜下腫瘍
原因は、胃の壁に腫瘍や隆起ができたため。
腫瘍が小さい時はほとんど症状がありません。時々腹痛・胃の痛み・不快感が起こることがあります。腫瘍が大きくなるにつれ、吐血・下血(肛門から血液が出てくる)の症状が出てくることもあります。
内視鏡や超音波検査で簡単に発見できるものですが、あまりに腫瘍が大きくなると摘出手術が必要になるケースもあります。
⑥ 胃がん
胃がんは、日本人死亡数の男性第2位、女性第3位。。。
本当に気をつけたい病気です。
原因は、ピロリ菌ではないかと考えられています。
症状は、胃の痛み・不快感・膨らんだような感じ・胸やけ・げっぷ・吐き気・食欲不振・貧血・体重減少が出てきます。
他の胃痛症状と大差ないため、ちゃんとした検査 (内視鏡検査・X線検査など) を行わないと判断できません。
⑦ 機能性ディスペプシア
原因となる疾患がないにも関わらず、慢性的にみぞおちが痛くなったり胃もたれが起きたりする症状を伴う病気のことです。
詳しくは、診断された後、医療機関で医師にご確認ください。
⑧ 胃けいれん
胃けいれん自体は病気ではありません。
ただし、みぞおち部分を中心に突発的に激しい痛みを伴う症状が出ますし、痛みが数分~2時間ほど続く場合もありますので一応覚えておいてください。
胃や、十二指腸炎・急性膵炎・便秘といった他の部位の病気が原因で胃けいれんは引き起こされるのです。
日常的なことから予防できます。胃に負担を与えすぎないことが大切です。
- 一日三回規則的な食事を!
- よく噛む
- 腹八分目に♡
- 塩辛いもの・辛い物を避ける
- コーヒーは濃すぎないものを飲む、ミルクを入れる
- アルコールは控える
- たばこも控える
- 良く寝る
- リラックスする、イライラする機会を減らす
- 腹筋を鍛える
起きてすぐ、寝る3時間前にものを食べないことでも予防できます。
現代はストレス社会です。
不規則な生活になってしまいがちです。
食の習慣も随分変わってしまいました。
その結果、胃痛に悩まされる人たちが増えてきています。
「仕方がない」と諦めていませんか?
まずは「予防法」で述べた方法で改善をはかってみてください。「よく噛んで食べる」「規則正しい食習慣を保つ」…
これらを少し意識するだけで随分改善されてくるはずですよ。できることから始めてみてはいかがでしょうか。