手術のみでは完治しにくい「膵臓ガン」とはどのような病気なのか?

全てのガンの中で、膵臓がんで亡くなる人の数は第4位。治療の難しいガンとも言われています。千代の富士や坂東三津五郎さんも膵臓ガンでした。

膵臓ガンとはいったいどのような病気なのでしょうか?

 

それは、

悪性度が高く、手術で切除が可能な場合でも高い確率で再発すると考えられている治療の難しいガンの1つなのです。

 

そこで今回は、「膵臓ガンとはどのような病気なのか」「患者数・死亡数の現状」「抗がん剤治療」についてわかりやすく解説していきたいと思います。

 
 
 膵臓がんとは? 

膵臓は、胃の裏側に位置する長さ15 cmほどの細長い臓器です。膵臓の中には、膵管(すいかん)と呼ばれる細長い管が網目のように走っています。

膵臓にできるガンのうち、90%以上はこの膵管に発生します。これを膵管ガンと言い、通常、膵臓がんはこの膵管がんのことを指します。
 
膵臓ガンでは、顕微鏡レベルの小さなリンパ管や静脈などへの浸潤(しんじゅん;がん細胞が周囲に広がること)や、神経の周囲への浸潤、リンパ節への転移が高頻度に認められるという特徴があるのです。

 

 

 

 膵臓ガンは全身病 

胃や大腸には、筋層と呼ばれる筋肉の層があり、これがガンの浸潤に対する防波堤の役割を果たしています。

一方、膵臓には筋層がないため、膵管に発生したガン細胞は、膵臓内・膵臓外へ次々と浸潤してしまいます。さらに、胃や十二指腸などの周囲の消化管や動脈、静脈、門脈へとガンは浸潤していくのです。

 

さらに、ガン細胞はリンパ液や血液の流れに乗ってリンパ節や別の臓器に飛び火。つまり、「転移」が起こるのです。一般的に、膵臓ガンでは肝臓への転移が多いとされています。

こういった特徴があるため、膵臓ガンは診断時すでに進行している場合が多く、たとえ手術で切除できる膵臓ガンであったとしても、すでに目に見えない微小な転移が肝臓にあると考えられています。

そのため、膵臓ガンは「全身病」であるとも言われているのです。

 

手術のみでは完治しにくい「膵臓ガン」とはどのような病気なのか?

 

 

 罹患数・死亡数は増加傾向に 

近年の膵臓ガン患者数 (年間)は、男性1万7,000人、女性1万6,000人ほどです。これに対して死亡数は、男性1万6,000人、女性1万5,000人となっています (年間3万人以上)。

残念なことに、膵臓ガンの罹患数と死亡数はほぼ同数になっており、生存率が低いことを表わしています。ほかの部位のガンは、死亡数が減少あるいは横ばい傾向を示している中で、膵臓ガンは男女ともに死亡数が増加傾向にあるのです。

 

(膵臓ガンの死亡数は肺がん、胃がん、大腸がんに次いで第4位)

 

 

 

 手術と化学療法の組み合わせ 

確かに、膵臓ガンは治療が難しいがんの1つなのですが、最近では、初期の段階で膵臓ガンを発見するための試みや、手術と化学療法(抗がん剤治療)の組み合わせで予後を改善しようとする試みがなされています。

(抗がん剤を用いてがん細胞の増殖を抑える薬物療法を化学療法と言います)

 

膵臓ガンでは、診断時に膵臓以外の臓器に転移が認められた場合や、転移が認められなくても手術できない範囲にまで広がっている場合、あるいは、手術後に再発してしまった場合に化学療法が行われます。

 

膵臓ガンの生存率と症状
膵臓ガンの生存率と症状

 

 

 

 膵臓がんの化学療法 

膵臓ガンと診断されてから最初に行う化学療法を「一次化学療法」と言います。

一次化学療法の効果がなくなり病状が悪化した場合や、効果があっても副作用が強く治療を継続できない場合には、抗がん剤の種類を変更して化学療法を継続します。これを「二次化学療法」と言います。

 

(膵臓ガン対する化学療法は、効果が認められ重い副作用がない場合、長期にわたって継続することが重要です)

 

 

 

 終わりに 

抗がん剤の投与はすべて点滴で行われます。副作用が強く、骨髄抑制(白血球や血小板の減少など)や下痢、食欲不振、吐き気、嘔吐、しびれ、発疹、口内炎などの症状が高頻度に現れます。

そのため、治療にあたっては、患者の全身状態や年齢などを十分考慮する必要があります。

 

(副作用が比較的少なく、入 院せずに通院で治療を続けることのできる抗がん剤治療もあります)

 

※ 抗がん剤の種類によっては、腎機能障害のある患者の場合副作用が強く出るものもあります
病状の悪化や副作用などで一次化学療法が継続できなくなった場合、全身状態が良好であれば二次化学療法が実施されます (二次化学療法では、一次化学療法とは異なる抗がん剤が選択される)。

 

ただし、二次化学療法を行う段階ではすでに、体力や全身状態が低下していることも多く、行うかどうかを含めた治療方針は、慎重に検討される必要があるのです。

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